466回 主宰選
(2月15日更新)
特選
仕合せは気付くことなり藪柑子 関口 ふじ
藪柑子照りて華やぐ裏鬼門 中川 晴美
寄せ植ゑに色を零せる藪柑子 五味 和代
山門へこごしき磴や藪柑子 伊藤 月江
年玉ややんちや坊主もかしこまる 山下 之久
年玉を与ふる子なく妻と老ゆ 住田うしほ
靴屋へと走る年玉握りしめ 星私 虎亮
百歳の母から受くるお年玉 金子 良子
売切れてしまひさうなる熊手買ふ 角野 京子
デパートに幸せ探す年の暮 三澤 福泉
緑良き七種揃ふパックかな 谷野由紀子
傘寿とてみなまだ若き斧始 春名あけみ
デパートの門松凜と客迎ふ 渡邉 房子
足裏に玉砂利やはき初詣 上西美枝子
行平の湯気につやめく粥柱 中川 晴美
入選
藪柑子古き庵へ続く道 山内 英子
年玉や夢応援の手紙付け 大塚 章子
朝の日に凛と輝く藪柑子 うすい明笛
年玉や順に笑顔を返さるる 小澤 巖
藪柑子ほどの幸せ八十路にも 浜野 明美
山峡の大樹の翳に藪柑子 中村 克久
藪柑子日影の育ちゆくところ 星私 虎亮
社へと続く石坂藪柑子 住田うしほ
苔多き古刹の庭の藪柑子 原田千寿子
ていねいに結はふ神籤や藪柑子 上西美枝子
床の間にかしこまりたる藪柑子 渡邉 房子
老い二人住まふ垣根の藪柑子 木村てる代
往きよりも還りは近し藪柑子 春名あけみ
藪柑子峠の茶屋に五平餅 三澤 福泉
十両てふ符帳をかしき藪柑子 板倉 年江
池端に鳥の運びし藪柑子 田中よりこ
藪柑子小き稲荷をともすごと 谷野由紀子
藪柑子開山堂の句碑の辺に 角野 京子
年玉や無病息災心掛け 今村 雅史
年玉を嬉嬉と授けて夫米寿 藤田 壽穂
年玉を供へて拝む女どち 関口 ふじ
年玉を渡し座敷の沸き立ちぬ 上西美枝子
テーブルに遣る手貰ふ手お年玉 山内 英子
年玉や投資なる語を知る五歳 大野 照幸
生き生きと子らの笑顔やお年玉 中谷恵美子
相好を崩し両手でお年玉 斎藤 摂子
年玉に師より賜る干支茶碗 田中よりこ
叔母からの御年玉すぐ神棚へ 西岡みきを
五十路越ゆる子らの笑顔やお年玉 三澤 福泉
幼子の笑顔がうれしお年玉 島津 康弘
お年玉貰ふ齢となりにけり 浜野 明美
狭庭にもほのと日の射す藪柑子 榎原 洋子
励ましの一筆添へてお年玉 髙松美智子
年玉を遣りて貰うてさきはひぬ 中川 晴美
年玉を配る翁の笑顔かな 原田千寿子
星冴ゆる道教はりし人逝けり 田中よりこ
さくさくと霜柱踏む森の朝 住田うしほ
膝痛のことを忘るる除雪かな 日澤 信行
警蹕に和する寒鴉を見上げけり 五味 和代
花手水に小槌煌めく初戎 板倉 年江
ロカビリー米寿卒寿の年忘 山下 之久
百合鷗羽搏ちて波の綺羅散らす 小澤 巖
寒晴や日差しに映ゆる天守閣 原田千寿子
回覧板回し御慶を交はしけり 今村 雅史
久々にはらから揃ひ屠蘇祝ふ 西岡みきを
茜雲頂く山の初景色 大塚 章子
玄関に活けて水仙馥郁と 藤田 壽穂
雑木山に等間隔の藪柑子 瀧下しげり
若き日の法然像や寒に入る 木村てる代
腕の振り大きく歩く寒日和 島津 康弘
春立つや雀弾める離宮跡 中谷恵美子
佳作
高齢者介護施設や藪柑子 山下 之久
洗ひ場を磨く音あり藪柑子 島津 康弘
改めて住所録見る藪柑子 日澤 信行
つぶらなる実の二つ三つ藪柑子 中谷恵美子
開祖より火種は絶えぬ藪柑子 今村 雅史
植込みに妻の指差す藪柑子 西岡みきを
庭石の足元に添ひ藪柑子 藤田 壽穂
初仕事満月かかる朝出かな 渡邉 房子
年玉は遣るも貰ふも疎遠なり 板倉 年江
線香といふ檀家寺のお年玉 角野 京子
年玉に笑める顔見る楽しさよ 五味 和代
孫多き身の年玉やうれしつらし うすい明笛
年玉を渡す者らの小声かな 瀧下しげり
吉といふ初みくじ飾る母のへや 金子 良子
頬寄せて花柊の香と和する 榎原 洋子
取り寄する重箱五尾のごまめかな 山内 英子
年新た曾孫預かる妊婦かな 中村 克久
由良様の茶屋の名残や小夜時雨 斎藤 摂子
寒天や空は賑やか地は寂し 大野 照幸
水中で頭下げ合ふ初稽古 関口 ふじ
感想と添削
原句 密やかな輝き放つ藪柑子
感想 密やかな、口語活用です。正しくは密やかなる
添削 密やかに光放てる藪柑子 大野 照幸
原句 藪柑子叔父の証の旧日記
感想 季語と表現を工夫します
添削 冬ぬくし叔父の証の日記手に 斎藤 摂子
原句 住み古りてこころ寄すらむ藪柑子
感想 らむ、曖昧です。使い方の難しい助詞
添削 住み旧りてこころの通ふ藪柑子 榎原 洋子
原句 陽の伸びし庭色添ふる藪柑子
感想 伸びしが曖昧。意味を通します
添削 日の濃さに庭に色へる藪柑子 髙松美智子
原句 玄関の小鉢に生くる藪柑子
感想 小鉢は料理用の皿。生きているのか活けたのかはっきりと
添削 玄関に小さく活くる藪柑子 金子 良子
原句 鳥一羽きてゐ゙る根方藪柑子
感想 ゐ゙る不明。何の根方なのかも不明です
添削 鳥一羽来てゐる庭の藪柑子 瀧下しげり
原句 良き間合い計り手渡すお年玉
感想 間合い→間合ひ→間合。計り、思惟が入り過ぎです
添削 良き間合もて手渡せるお年玉 木村てる代
原句 貰う時には正座してお年玉
感想 誰が貰うかを分かるようにした方が具体的になります
添削 三歳が正座で受くるお年玉 日澤 信行
原句 猫の子が顔出す庭の藪柑子
感想 猫の子、季重りになりました
添削 三毛猫が顔出す庭の藪柑子 小澤 巖
原句 雪降りて赤のきはだつ藪柑子
感想 季重りを解消します
添削 雨止みて赤のきはだる藪柑子 大塚 章子
原句 遠き子に送る年玉数へをり
感想 ここは現在終了的な「けり」でしょうね
添削 遠き子に送る年玉数へけり 伊藤 月江
原句 お年玉ぎゅうっと握る曾孫の手
感想 ぎゅうっと→ぎゆつと
添削 年玉をぎゆつと握れる曽孫かな 中村 克久
原句 恙なき生きる幸せお年玉
感想 生きる→生くる。恙なくと連用形にして生くるに繋げます
添削 恙なく生くる幸せお年玉 春名あけみ
原句 お年玉とうとう背丈並ばれぬ
感想 とうとう→たうとう
添削 年玉やたうとう背丈並ばれぬ 谷野由紀子
原句 寒晴れや空の青さを広げをり
感想 寒晴れ→寒晴。広げをり、擬人化要一考
添削 寒晴や空の青さのかぎりなく 浜野 明美
原句 初日の出観んと浜辺に人ひと人
感想 人ごとでなく、自分事の方が伝わりやすいです
添削 初日の出見んと浜辺にひとり立つ うすい明笛
原句 声つかふ高音競ひ合ふやうに
感想 主語が推定できません
添削 冬の鵙高音を競ひあひにけり 星私 虎亮
原句 古暦悲喜こもごもの歩を閉じぬ
感想 歩の意味が不明。閉じ→閉ぢ
添削 一年の悲喜をたどりぬ古暦 髙松美智子
原句 力石抱え損なふ馬日かな
感想 抱え→抱へ
添削 力石抱へ損なふ馬日かな 伊藤 月江