誌上句会

 

第401回  披講 特選・入選・推薦作品

 輪番特別選者  原  茂美
原田千寿子

誌上句会投句作品は「雲の峰」誌に無記名で掲載され、会員が選びあうものです。
常葉・照葉集作家が輪番で特別選者の任にあたり、主宰が推薦欄を担当します。

 

原  茂美特選

餌台の声に始まる霧の朝       伊津野 均

 鳥は視覚・聴覚・嗅覚に優れているとのこと。餌台を置かれガーデンバードウォッチングを楽しまれているのですね。自宅に居ながら鳥の囀りを聴き仕草を眺めるだけで癒されますね。朝の霧で素敵な一句になりました。四季折々の句が出来そうですね。

そろばんを使ふ店主や冬ぬくし    上西美枝子

 一読して情景が浮かびます。今は、どこのお店も電卓やレジスターを使っていますが、そろばんを使っているお店もあるのですね。駄菓子屋さんでしょうか?それとも雑貨屋さん?店主を取り巻く子ども達やお客さん、いろいろと想像が膨らみます。季語がよく合っていると思います。


原田千寿子特選

夕照に艶と色増す柿すだれ      板倉 年江

 干柿を作るために、柿の皮を剝き紐や細縄に吊るし、日当りと風通しの良い軒下などに簾のように吊るされているのでしょう。特に夕映えの時は、柿の艶と色が増してきて柿すだれの美しい光景となる事でしょう。楽しみですね。

秋出水濁流街をひた奔る       住田うしほ

 九月に入り急に集中的に雨が降る線状降水帯の被害が日本中で聞かれ、熊本でも町の中央街が水浸しになったり、家や車まで浸水しました。〈濁流街をひた奔る〉という表現が、この状況を表しているように感じました。


 原  茂美入選

おもむろに三毛が伸びする秋の昼   井上 白兎
秋深し路地に残りしいけず石     田中よりこ
高千穂の靄に濡れゐる蕎麦の花    木村てる代
百選の浜に月待つ宿りかな      福長 まり
コスモスの風に憩へる四世代     うすい明笛
郷倉の跡や色なき風吹いて      井村 啓子
歳時記とスマホ片手に花野道     山地 高子
旅の夜の居酒屋に酌む温め酒     宮永 順子
秋晴や馬の嘶く草千里        原田千寿子
能管の鋭き一声や十三夜       松井 春雄

 原田千寿子入選

おもむろに三毛が伸びする秋の昼   井上 白兎
高千穂の靄に濡れゐる蕎麦の花    木村てる代
父からの文語の手紙柚子は黄に    春名あけみ
正座して墨磨る音や秋の雨      田中 幸子
天井の低き回廊萩の風        谷野由紀子
畦豆を引く子の頰に泥よごれ     浅川 悦子
コスモスの風に憩へる四世代     うすい明笛
露けしや赤き頭巾の石仏       渡邉眞知子
能管の鋭き一声や十三夜       松井 春雄
松が枝にかかる有明月まろし     冨安トシ子



朝妻 力推薦

一舟の水脈秋冷の湖分かつ      小澤  巖
時系列の怪しき記憶秋深し      小見 千穂
歳時記とスマホ片手に花野道     山地 高子
石垣の残る海城秋惜しむ       岡山 裕美
仕事終へヒシヤブ着けたる夜学生   片上 信子
郷倉の跡や色なき風吹いて      井村 啓子
秋麗しなやかに操る手話の指     松本すみえ
そろばんを使ふ店主や冬ぬくし    上西美枝子
足早に過ぎ行く秋を惜しみけり    中川 晴美
売る牛に秋の名草を食はす嫁     佐々木一夫
秋晴や馬の嘶く草千里        原田千寿子
コスモスの風に憩へる四世代     うすい明笛
餌台の声に始まる霧の朝       伊津野 均
EV車の静かに落葉踏みゆけり    今村 雅史
秋深し路地に残りしいけず石     田中よりこ
熊野筆で頰に紅さす文化の日     関口 ふじ
黄菊着る義経の口一文字       髙橋美智子
蓮の実や稚すこやかに指を吸ふ    志々見久美
秋風や名もなき山も鮮やかに     古谷 清子
高千穂の靄に濡れゐる蕎麦の花    木村てる代