楽しい俳句 見ぃつけた

文ちやんと言ふ文鳥と盆過ごす     堀いちろう

 リズミカルな〈文ちやんと言ふ文鳥〉がとても楽しい。旅行に行くお孫さん一家が大事にお世話をしている文鳥を預かったのかな~と。接するうちにかわいくなってきて離れるのが寂しくなった作者の気持も伝わってくるよう。多くを語っていないけれど〈盆〉という季語がとても効いていて〈文ちゃん〉に対する家族の愛情が伝わってくるほのぼのとした一句と思います。(上西美枝子)

秋暑し主治医の腕に湿布薬       野村よし子

 月に一回、定期受診での一コマでしょう。日頃の暮し振りなどを話しつつ、ふと見ると主治医の腕に湿布薬が貼られています。気になりますよね?私なら、どうされたんですかとすぐに聞いちゃいますが、奥ゆかしい作者は聞けずに帰宅したのかな。でも、気になるし、心配もしている作者です。読み手の想像力を刺激しますよね。週末に庭仕事を頑張ったの?早々と大掃除?まさかの草野球⁉︎日常生活の中のちょっとした俳句の種を見落とさず、しっかり俳句に仕立てた作者。もう立派に俳人の目差ですね♪ (岡田万壽美)

靴脱げし子へ拍手湧く運動会      井村 啓子

 種目は、徒競走でしょうか。一生懸命走っていたのに思い掛けず靴が脱げてしまいました。今にも泣き出しそうに、靴を履き直す児童が目に浮かびました。子を思う親心がひとつになり、拍手を送る父兄達!とても良い場面です。さりげない子供の様子を切り取つて作品にされる作者にいつも感心しています。(吉井 陽子)

夫の背に狐の剃刀突きつけぬ      岡田ひろ子

 えっ!何という物騒な俳句と思いました。〈狐の剃刀〉って何のこと?早速辞書で調べました。これはヒガンバナ科の多年草とのこと。写真にはオレンジ色の可愛いきれいな花が載っていました。どうしてこんなきれいな花が物騒な名前なのか想像力の乏しい私には分かりませんが、ご主人の背中にこのきれいな花を突きつけた!!なんといたずら好きでお茶目な奥様だろうと思わず「ふふっ!」と笑えてしまいました。(櫻井眞砂子)

今晩の秋刀魚焦げ良し香り良し     岡山 裕美

 若かりし頃、脂の乗った太い秋刀魚を買い求めコンロの上で焼いたのですが煙が部屋中に満ちあわてたことを思い出しました。何はともあれ秋は秋刀魚を食べなきゃ始まらない。庶民の声ですね。その秋刀魚を上手に焼くことへの情熱を感じます。主婦の腕の見せ所ですね。「さあ食べて下さい」と自信満々で食卓に出した作者の顔が浮かびます。秋刀魚の香りも一際だったことでしょう。美味しく食べて楽しく暮らしたいですね。(川尻 節子)

騎馬戦の先頭は女子秋高し       井村 啓子

 以前の運動会では一際声援の湧く競技といえば、対抗リレーに組体操、そして高学年男子による騎馬戦でした。児童・生徒そして保護者も総立ちになるほど応援したものでした。近頃は児童・生徒の安全面を配慮して組体操のピラミッドもそんなに高くなくなり、騎馬戦も激しい争奪戦ではなくなっていますね。高学年男子に限られていた騎馬戦も男女の区別なく参加し、今の時代を反映した競技になっています。運動会日和の空の下、騎馬戦の先頭で堂々と入場してくる女子の姿をはっきりと思い浮かべることのできる一句だと思います。(今村美智子)


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楽しい俳句見いつけた!
 皆さんが熱心に新会員を勧誘して下さっているのですが、ほとんどが空振り……。あれこれ伺ってみますと、「俳句??そんな難しいの出来ないよ!」と言われるのだそうです。そう言われると返す言葉がない……。
 季語や歴史的仮名遣や文語の活用などに気を配りますので、難しいのは事実。でも辞書や歳時記を引いているうちに、楽しくなってくるのも事実!そこで、
 初めは難しいと思うけれども思っていたよりも楽しいよ!
と言えるページを作りました。
 但し、始めからウケを狙ったり楽しさを狙ったりしたら大概は失敗します。俳句になる場面を発見する、日常の中で驚きを発見する、そんな気持で俳句を作ってみて下さい。なお、服部土芳の「三冊子」に、
名にめでて折れるばかりぞ女郎花
        我落ちにきと人にかたるな
此句、僧正遍照嵯峨野の落馬の時詠める也。俳諧の手本なり。詞卑しからず、心戯れたるを上句とし、詞卑しう、心の戯れざるを下の句とする也。
という一節があります。古い言い方ですが、俳諧の本質を突いているように思われます。興味のあるかたは読んでみて下さい。