第398回 披講 得点作品
※投句は新作未発表作品に限ります
12点
杉浦 正夫・櫻井眞砂子・冨安トシ子・宮永 順子・大澤 朝子・竹村とく子・小見 千穂・林 雅彦
仏前の吾が背に母の団扇風 溝田 又男
11点
井村 啓子・原 茂美・木村てる代・小林伊久子・渡邉眞知子・野添 優子・佐々木慶子・西山 厚生・田中せつ子
野馬追の馬上に弾む浜言葉 伊藤たいら
10点
小澤 巖・角野 京子・田中よりこ・福長 まり・新倉 眞理
噴水にもうこれまでといふ高さ 宇野 晴美
島津 康弘・松井 春雄・横田 恵・松浦 陽子・溝田 又男
英霊は行年二十草茂る 小澤 巖
9点
小薮 艶子・髙木 哲也・宇利 和代・穂積 鈴女
オホーツクの風渡りゆく夏野かな 福長 まり
8点
岡田 寛子・中尾 光子・野田 千惠
まん丸を三角に切る西瓜かな 青木 豊江
田中 幸子・三澤 福泉・北田 啓子・髙松美智子
近道を来たれ吾子乗す精霊馬 糟谷 倫子
上西美枝子・川尻 節子
秋高し駅に自転車組立て所 浅川加代子
7点
住田うしほ・吉沢ふう子・榎原 洋子・青木 豊江・松本 英乃
洗ひ髪手櫛に通す夜風かな 浜野 明美
吉村 征子・岡山 裕美
夏の夜や七つの星を目で繋ぐ 深川 隆正
6点
中谷恵美子
潮風も潮騒も入れ夏座敷 原 茂美
5点
板倉 年江・小山 禎子・越智 勝利・中野 尚志
喧騒の街打ちすゑる大夕立 村川美智子
今村美智子・太田美代子・児島 昌子・山﨑 尚子
コスモスに色たし風は抜けゆけり 遠藤 玲
川口 恭子・船木小夜美・杉山 昇
打ち水や引戸の響く裏小路 福原 正司
堀いちろう・渡邊 房子
歳時記を伏せてひねたる梅酒割る 谷野由紀子
田中 愛子・竹内美登里
遠く沖見てゐる父の夕端居 香椎みつゑ
浅川加代子・谷野由紀子
灼けゐたる擬宝珠に残る刀傷 小林伊久子
4点
乾 厚子・瀬崎こまち・木原 圭子・髙橋 保博
木の晩に凜としづもる孔子廟 中川 晴美
中川 晴美・糟谷 倫子
幸せは家族のそろふ夏休み 髙橋 保博
河原 まき
郵便物配れり指も日焼して 井村 啓子
藤田 壽穂
腰のなき風となりたる古団扇 三代川次郎
中尾 礼子
土間に入りたたむ日傘の日のぬくみ 穂積 鈴女
吉井 陽子
雲海の次第に晴れて阿蘇五岳 原田千寿子
田中まさ惠
醤油屋の匂染み入る渋団扇 木原 圭子
大木雄二郎
夕焼雲貨物列車の停まる駅 金子 良子
3点
冨土原康子・三原 満江・野村よし子
花火果つ静寂と闇と残像と 片上 信子
三代川次郎・浅川 悦子・佐々木一夫
夏燕軒に住まはせ小商ひ 吉村 征子
原田千寿子・片上 節子
一人づつ靄に消えゆく峰行者 田中 愛子
うすい明笛・播广 義春
履歴書く夢に目覚むる熱帯夜 児島 昌子
河井 浩志・高松眞知子
泣き言を言わぬ決心雲の峰 住田うしほ
春名あけみ・中村 克久
金色の鴟尾反り返る雲の峰 西山 厚生
香椎みつゑ・古谷 清子
山割りて真白き滝のしぶきかな 中田美智子
関口 ふじ・上和田玲子
みづうみに白き波立つ夏の果 松井 春雄
今村 雅史・野村 絢子
西日より二点鐘打ち消防車 大澤 朝子
宇野 晴美
蛸穴の場所秘したまま翁逝く 島津 康弘
山本 創一
若楓透きて瀬音の響きけり 田中せつ子
高橋 佳子
滴りや四角き顔の摩崖仏 木村てる代
父の日や吾を親父と呼ぶ子ゐて 三澤 福泉
2点
鎌田 利弘・五味 和代
緑蔭に入りて人みな穏やかに 武田 風雲
遠藤 玲・宮田かず子
現役の丸きポストや炎天下 板倉 年江
志々見久美・水谷 道子
涼しさや投票用紙の書き心地 杉浦 正夫
大塚 章子・竹中 敏子
日盛を子ら打つ走る滑り込む 田中まさ惠
土屋 順子
極薄のポテトチップスサンドレス 越智 勝利
寺岡 青甫
何時となく別れて久し竹婦人 佐々木一夫
斎藤 摂子
子らはしやぎ水を掛け合ふサンデッキ 吉井 陽子
深川 隆正
うすものの衿ぬく客やさじき席 人見 洋子
西岡みきを
犬抱きて茅の輪を潜る翁かな 佐々木慶子
酒井多加子
そろそろとケルンに足せる石ひとつ 宮永 順子
米田 幸子
大暑なり海一望のカフェテラス 高松眞知子
山内 英子
向日葵や駅長一人に客ひとり 寺岡 青甫
浜野 明美
緑児の頭抱くかに桃を採る 松本 英乃
福原 正司
緑蔭を選りつつ急ぐオペの朝 瀧下しげり
磯舟の底に残れる昆布片 角野 京子
滴りが濡らす草より風生まる 春名あけみ
今朝はもう灯りの消えし螢籠 岡田 寛子
烏瓜闇にもつれて咲にけり 田中 幸子
閉鎖する坑口覆ふ葛盛り 髙橋美智子
ペダル踏む白き歯見せて日焼けの子 船木小夜美
1点
平橋 道子
かつ生きて土用餅食む八十路かな 中尾 光子
中田美智子
キーを打つ冷房温度二度下げて 山内 英子
近藤登美子
雲の上のみ空涼しき朝の窓 野添 優子
松本 葉子
緑蔭にブルーの鳥と目があつて 近藤登美子
森田 明男
七夕や母と探した星いづこ 平橋 道子
井上 妙子
たこの足一本入れて胡瓜もみ 布谷 仁美
コダマヒデキ
三度四度何か言ひたげ揚羽蝶 奥本 七朗
光本 弥観
花菖蒲川の流れに沿ひて咲く 山本 創一
長浜 保夫
床山の荒櫛の艶名古屋場所 米田 幸子
越智千代子
昨日出来て今日出来かねる暑さかな 井上 妙子
片上 信子
風死すや入り日差しゐる渡船場 横田 恵
伊津野 均
軒先に夕日かたむく金魚玉 宇利 和代
奥本 七朗
安かれとヒロシマナガサキ花カンナ 新倉 眞理
村川美智子
井戸端やうからはらから西瓜食ぶ 高橋 佳子
金子 良子
川合ひの逆巻く渦や梅雨上がる 鎌田 利弘
山口 直人
夏空を見上げて立てり風の道 林 雅彦
髙橋美智子
手習の紙へ御簾越しの日揺らぐ 瀬崎こまち
武田 風雲
白南風や龍馬の学ぶ操練所碑 乾 厚子
夏蝶呼ぶアガパンサスの狭庭かな 片上 節子
暑を捨てに賑はふ夜のバイキング 竹中 敏子
青梅雨や岩間を白き水一縷 吉沢ふう子
梅雨深し男一人の夕餉かな 渡邉眞知子
ほととぎす鳴くや弟の骨納む 斎藤 摂子
朝焼けの夏空に浮くあかね雲 渡邊 房子
青田風釣糸垂るる影一つ 北田 啓子
甘酒や六腑に生気取り戻し 髙松美智子
天気図はくじらの尾型極暑くる 田中よりこ
曲技飛行に万博の夏湧き立ちぬ 寿栄松富美
姉往きて見送る帰路に夜半の月 長浜 保夫
先生もビーチサンダル海開 竹内美登里
囃子終へひかる半裸の男の背 中尾 礼子
夏のれん橋の袂の小料理屋 上和田玲子
柄長鳴く山のたをりにはせを句碑 酒井多加子
終日を電子書籍や谷崎忌 関口 ふじ
日盛の神宮の杜深閑と 今村美智子