誌上句会


第385回  披講 得点作品

 

  ※投句は新作未発表作品に限ります

 

 

 17点
 小山 禎子・宮永 順子・宇野 晴美・遠藤  玲・糟谷 倫子・竹村とく子・大澤 朝子・加納 聡子
 妹尾ひとみ・林  雅彦・穂積 鈴女・長岡 静子

生ぬるき水を飲み干す原爆忌      田中まさ惠

 15点
 角野 京子・武田 風雲・乾  厚子・小薮 艶子・関口 ふじ・瀬崎こまち・宇利 和代・越智千代子
 髙松眞知子・青木 豊江

露涼し角笛ひびく牧の朝        冨安トシ子

 14点
 田中 愛子・堀いちろう・香椎みつゑ・浜野 明美・渡部 芋丸・野村よし子

偶数は優しき数字さくらんぼ      川口 恭子

 9点
 三代川次郎・井上 妙子・上和田玲子・渡邉眞知子

くつきりとピアスのあとや夏終る    青木 豊江

 8点
 杉浦 正夫・原田千寿子・越智 勝利・木原 圭子

折鶴に願ひのおもさ晩夏光       岡田 寛子

 岡山 裕美・大野 照幸・新倉 眞理・光本 弥観

たまに飛ぶレコード針や秋うらら    上西美枝子

 7点
 川口 恭子・三澤 福泉・吉井 陽子・児島 昌子

三線に合はす指笛月涼し        三代川次郎

 髙木 哲也・鎌田 利弘・窪田 季男・コダマヒデキ

一閃を放ちさ走る瑠璃蜥蜴       香椎みつゑ

 松井 春雄・横田  恵・竹内美登里

堂塔の空に雲沸く大暑かな       瀧本 和子

 平井 紀夫・北田 啓子

少年の点てたる薄茶風薫る       松本 葉子

 住田うしほ・田中よりこ

烏帽子岩染めて室戸の大夕焼      横田  恵

 6点
 小澤  巖・吉村 征子

木洩れ日も水音も馳走川床料理     今村美智子

 廣田 静子

言いたきを怺へて仰ぐ天の川      米田 幸子

 5点
 木村てる代・西岡みきを・志々見久美・松本 英乃

手の甲にふと置いてみる灸花      谷野由紀子

 伊藤 月江・佐々木慶子・髙橋美智子

知ってゐる顔ばかりなる村芝居     田中 愛子

 川尻 節子・長浜 保夫・杉江 茂義

大人びたる鉛筆書きの夏見舞      金子 良子

 冨安トシ子・片上 節子

滴りや苔むす暗き間歩の跡       田中よりこ

 4点
 松本すみえ・松本 葉子・宮田かず子・小見 千穂

恙無く過ぎ行く日々や白芙蓉      佐々木慶子

 井村 啓子・原  茂美・平本  文・水谷 道子

流星や五人育てし父のこと       春名あけみ

 五味 和代・山内 英子・佐々木一夫・野田 千惠

夕虹の消ゆるまで待つ夕支度      渡邉眞知子

 播广 義春・太田美代子・中村 克久

雲海に影富士浮かぶ日の出かな     板倉 年江

 伊津野 均・岡田 寛子・野添 優子

日向水雲の一片捕へけり        杉村 好子

 田中まさ惠・浅川 悦子

薫風やドクターイエロー通り過ぐ    吉井 陽子

 春名あけみ・田中せつ子

八月や弾痕残る文学館         小薮 艶子

 山口 直人・米田 幸子

白球へ歓喜と涙雲の峰         佐々木一夫

 3点
 杉村 好子・近藤登美子

蟬時雨降る山寺に座禅組む       榎原 洋子

 島津 康弘・榎原 洋子

郭公の声ゆきわたり日の暮るる     窪田 季男

 上西美枝子・瀧下しげり

緑さす狭井の神水掬ぶ手に       中尾 謙三

 中田美智子・中尾 光子

この地球明日にも燃えつく酷暑かな   奥本 七朗

 河原 まき・平橋 道子

楸邨忌我も米寿のただ中に       遠藤  玲

 布谷 仁美・井手 公子

夏の朝広島は泣き人も泣き       髙橋美智子

 土屋 順子

瑞風や一子相伝奈良うちわ       廣田 静子

 奥本 七朗

向日葵を駅地下に買ふ日曜日      山内 英子

三伏やサプリメントの特売日      山下 之久
そよ風の風鈴胎児動きしと       人見 洋子
蛍火や夜半の外湯にふるるほど     村川美智子
夕影にヨット煌めく鳰の海       杉浦 正夫
子と数ふてんたう虫の星の数      宇野 晴美

 2点
 人見 洋子・髙橋 保博

連れだちて登校の子や青田風      原田千寿子

 浅川加代子・野村 絢子

蹲踞に朱夏のもれ日の綺羅いくつ    小澤  巖

 小林伊久子・福長 まり

笹五位の鳴き過ぐ闇の濃かりけり    酒井多加子

 瀧本 和子・星私 虎亮

洋上に力くらべの雲の峰        島津 康弘

 金子 良子・斎藤 摂子

聞き上手に努めむとしてラムネ飲む   高松眞知子

 藤原 俊朗・中尾 礼子

背に鉾の名の入る法被に汗滲む     山﨑 尚子

 板倉 年江

禅刹を拝してよりの走り蕎麦      中川 晴美

 中尾 謙三

鳥除けのテープきらつく青田かな    播广 義春

 山﨑 尚子

吊橋より見る滝壺や瑠璃深し      北田 啓子

 山本 創一

水なすや可愛いがるやに糠まとふ    高橋 佳子

 溝田 又男

目覚ましは昨日と同じ蟬時雨      浅川 悦子

 中川 晴美

邂逅のこゑ若返る鱧の夜        伊津野 均

 酒井多加子

山鉾や稚児の妙技に拍手沸く      竹村とく子

 倉瀬 瑛子

オホーツクの一枚晴れや夏の果     志々見久美

 今村美智子

炎昼や豊かなる髪もてあまし      上和田玲子

 福原 正司

片蔭を傘傾けてすれちがふ       瀧下しげり

 田中 幸子

地の底の讃歌なるらむ蟬しぐれ     長尾眞知子

 河井 浩志

又の名を鉄骨の美女夏の雲       五味 和代

夏潮の引き残す流木白し        長岡 静子
水馬の交尾みて水に逆らはず      木村てる代
夏の星同期三人辞めてゆく       星私 虎亮
町明かり遠き駅舎や虫時雨       うすい明笛
黍穂波そよぎケアンズ秋に入る     溝田 又男

 1点
 中谷恵美子

リュック負ひ一歩踏み出す日の盛    角野 京子

 寺岡 青甫

湯の里の草の褥に流れ星        大野 照幸

 中野 尚志

しばらくを耳すましゐる雷のあと    伊藤 月江

 うすい明笛

赤のまま昔のままに生家古る      伊藤たいら

 船木小夜美

鯉浮きて頻にあぎとふ大暑かな     松井 春雄

 櫻井眞砂子

一杯の水に生気や猛暑来る       松本すみえ

 髙橋 佳子

千倍もある餌に挑む蟻二匹       宮永 順子

 深川 隆正

つい長く夏の本屋に雨やどり      松本 英乃

 冨士原康子

野性味の覇気をおさふる扇風機     光本 弥観

 三原 満江

葉をはなれ次のよき葉を夏の蝶     堀いちろう

おんでこの島の鬼百合まつさかり    吉沢ふう子

 奥野 雅應

水論の平和記念日氏神へ        中田美智子

 大木雄二郎

ひとくちの冷酒うましと杯重ぬ     行竹 公子

 岩橋 俊郎

脱ぎ捨てることのみに生き蟬の殻    平橋 道子

 渡邉眞知子

涼やかや篠つく雨の遠退きて      吉村 征子

 藤田 壽穂

客待ちの駱駝素風に立ちにけり     今村 雅史

 谷野由紀子

かくしより旅のレシート夏の果     大澤 朝子

 竹中 敏子

軒に舞ひ巣立ち促す夏燕        長浜 保夫

 吉沢ふう子

奈良街の長き列なる氷店        三原 満江

 村川美智子

花合歓やここは四国のど真ん中     片上 節子

 今村 雅史

犬と犬しづかに伏する木下闇      船木小夜美

梅雨寒と言ふ言の葉や今遠し      中尾 礼子
蟬盛ん焼け付く日差し蹴散らして    藤田 壽穂
鬼や姥山の名も持ち百合香る      福長 まり
新しき仕事にも慣れ麦の秋       山本 創一
包丁の錆見えそめし晩夏光       冨士原康子
流行のブランド品で帰省かな      関口 ふじ
夏蝶のもつれて沈む葉陰かな      浜野 明美
青葉若葉愛でつつ登る山の道      中野 尚志
打水の直後ひと雨とおり過ぐ      福島 秀行
阿字池の水の豊かに蓮の花       武田 風雲
夫用に晴雨兼用日傘選る        渡邊 房子
老鶯や山気満ちゐる三諸山       中谷恵美子
川覆ふほど大木の合歓の花       岡山 裕美
釣鐘草片方に笑まふ道祖神       奥野 雅應
しみじみと覗き込みたり蟬の穴     大木雄二郎
新盆の仏の道を拡げけり        中尾 光子
曇りたる神戸の粋や夏つばめ      加納 聡子
ぬばたまの夜に煌めく灯の涼し     浅川加代子
北窓に青き空透く茂かな        野添 優子
祇園囃子耳に通りへ駆け上がる     河原 まき
夕空を白く染めたる新樹光       井手 公子
水飯や会ひたき人の皆泉下       渡部 芋丸
片蔭をゆずる子連れの母親に      杉江 茂義
夏の果て身に沁みわたる五輪の書    小山 禎子
花氷届かぬ思ひ閉ざすごと       住田うしほ
一日は女人禁制山開き         布谷 仁美
駄菓子屋の軒に風鈴下校の子      三澤 福泉
三尺寝鴉の声に起こさるる       穂積 鈴女