誌上句会


第392回  披講 得点作品

 

  ※投句は新作未発表作品に限ります


19点
 武田 風雲・田中まさ惠・谷野由紀子・高橋 佳子・松本 葉子・佐々木慶子・山﨑 尚子・片上 節子・寺岡 青甫

田仕舞の煙一すじ夕日落つ       船木小夜美

 今村美智子・宇野 晴美・西山 厚生・野田 千惠・穂積 鈴女・竹中 敏子・村川美智子・越智千代子

百歳を真中にすえて初写真       金子 良子

 14点
 杉浦 正夫・原田千寿子・三澤 福泉・金子 良子・新倉 眞理・溝田 又男・青木 豊江

初弓の晴れ着に掛くる白襷       吉井 陽子

 12点
 井村 啓子・中谷恵美子・関口 ふじ・野添 優子

絵手紙に夢の一文字春立てり      五味 和代

 11点
 小山 禎子・木村てる代・船木小夜美・寿栄松富美・瀬崎こまち・竹村とく子

椀の蓋とればほのぼの春隣       宇利 和代

 伊津野 均・渡邉眞知子・岡田 寛子・片上 信子・松本 英乃

薔薇芽吹くひそかに棘を育てつつ    伊藤たいら

 うすい明笛・冨安トシ子・渡邊 房子・大木雄二郎・中野 尚志

獅子舞にかまれ泣く子も笑ふ子も    杉浦 正夫

 10点
 浅川加代子・角野 京子・山内 英子・福原 正司

消火器に積もる埃も十二月       中尾 謙三

 7 点
 吉沢ふう子・榎原 洋子・田中せつ子

奈良の墨ほのかに匂ふ筆始       吉村 征子

 川尻 節子

七草や米の五勺で足る暮らし      三原 満江

 6 点
 香椎みつゑ・深川 隆正・鎌田 利弘・岩橋 俊郎

蹲踞の水を揺らせる落椿        田中よりこ

 大塚 章子・宮田かず子・竹内美登里・窪田 季男

春光や湖国見守る近江富士       小薮 艶子

 三代川次郎・上和田玲子

地下足袋は肌の感覚麦を踏む      越智 勝利

 田中 幸子

竹爆ぜて思ひも爆ずるどんど焼     渡邉眞知子

 5 点
 中川 晴美・中村 克久・人見 洋子

人声とほどよき起伏梅探る       穂積 鈴女

 髙橋美智子・木原 圭子・野村 絢子

奥多摩に残る古民家鳥総松       中村 克久

 板倉 年江・冨士原康子・浜野 明美

松活けて床改まる冬座敷        松本すみえ

 堀いちろう・北田 啓子

結界の丹の橋ちさし春の雪       香椎みつゑ

 小薮 艶子

春立つや肺の隅まで大気吸ふ      宮永 順子

 4 点
 酒井多加子・櫻井眞砂子・近藤登美子

とつおいつ俳句三昧春を待つ      田中 愛子

 髙木 哲也・光本 弥観・髙松眞知子

雪女兎となりて森に消ゆ        寺岡 青甫

 岡山 裕美・福長 まり

薄氷のすきとほる日やミント植う    岡田 寛子

 播广 義春・松井 春雄

橋三つ渡りて厄を払ひけり       中川 晴美

 遠藤  玲・髙松美智子

落葉掃く生ける証を積もらせて    コダマヒデキ

 河原 まき・中尾 謙三

寒暁の光になぞる相聞歌        冨安トシ子

 小澤  巖・吉村 征子

福豆やだれも被らぬ鬼の面       山内 英子

 川口 恭子・小林伊久子

静かなる雨の一日も松の内       上和田玲子

 田中よりこ

日の色も昨日と違ふ初景色       小澤  巖

 コダマヒデキ

泣くが為目はありしかと啄木忌     糟谷 倫子

春を待つ介護施設の車椅子       田中まさ惠

 3 点
 上西美枝子・児島 昌子

園児の描くへびは笑顔や冬うらら    井村 啓子

 住田うしほ・渡部 芋丸

浅沓の音響きたり寒牡丹        島津 康弘

 中田美智子

賀状来ぬ友へ無事かとメール打つ    小見 千穂

 米田 幸子

雪解けの五箇の切妻湯気吹けり     今村 雅史

 三原 満江

ゆきひらの七草粥に霰餅        片上 節子

手鞠唄なかなか東寺まで行けず     三代川次郎

 2 点
 野村よし子・平橋 道子

初神籤神のお告げは女難あり      林  雅彦

 藤田 壽穂・星私 虎亮

晴れやかに伊吹嶺雪をかがやかす    志々見久美

 林  雅彦・中尾 光子

家仕舞ひ軒に風鈴ひとつあり      岩橋 俊郎

 越智 勝利・山口 直人

朝まだき車窓から見る寒の月      乾  厚子

 大澤 朝子

年明けて七曜早し初句会        田中 幸子

 松本すみえ

一歩目の昭和百年初詣         佐々木一夫

 田中 愛子

マフラーの赤を選んで真知子巻     近藤登美子

 吉井 陽子

鐘の音に瞬く星の淑気かな       髙橋 佳子

 長浜 保夫

祖母の手の皺思ひ出す葛湯かな     山﨑 尚子

 長岡 静子

左義長の炎は蛇の形して        小山 禎子

 太田美代子

蠟梅の一枝の香り目覚む室       高松眞知子

 横田  恵

いくばくか声の昂る初句会       福原 正司

 山本 創一

編み込みの整ふ茶髪初鏡        竹村とく子

 春名あけみ

搦手に落城のあと蕗の薹        酒井多加子

 五味 和代

ゆつくりと足伸ばし入る初湯かな    宮田かず子

 小見 千穂

眠られぬ寒夜のラジオ深夜便      斎藤 摂子

深更の犬の遠吠え冬の月        青木 豊江
大寒に靄のたなびく関ヶ原       髙木 哲也
移りゆく季の一齣や冬木立       宇野 晴美
整然と燃えたつ奈良のお山焼      米田 幸子
朝上がり土黒々と春きざす       中谷恵美子
春待つや苔玉に水吹きかけて      松本 葉子
黄昏のバス停に吾と裸木と       渡邊 房子
日脚伸ぶ余光あふるる神の杜      今村美智子
参道に待春の灯やほのと揺れ      藤田 壽穂

 1 点
 髙橋 保博

産土に響く柏手春近し         播广 義春

 浅川 悦子

ソーラーで踊る玩具や春浅し      角野 京子

 井上 妙子

片方を失せし手袋抽斗に        谷野由紀子

 宮永 順子

悴みて受くる漏水調査かな       野村よし子

 宇利 和代

糸引けば青空の凧頷けり        伊津野 均

 土屋 順子

晩節を約しく暮らす去年今年      西山 厚生

 原  茂美

寒ゆやけ京の七口もとほれば      小林伊久子

 水谷 道子

被災地の能登を思ひて年惜しむ     山本 創一

 乾  厚子

春を待つ少年達のバッテング      藤原 俊朗

 瀧下しげり

冬うらら旧知の友とパンケーキ     児島 昌子

 今村 雅史

それぞれの句にうなづきぬ春隣     榎原 洋子

 佐々木一夫

読み難き賀状の友を思ひやる      人見 洋子

 斎藤 摂子

猪鍋や三百年を経し暖簾        吉沢ふう子

 奥本 七朗

水鳥の水面五十歩走り翔ぶ       大澤 朝子

 西岡みきを

大寒やリハビリ励む杖の友       平橋 道子

 布谷 仁美

新年の花は伸びのび活けるべき     松本 英乃

 河井 浩志

風花が立つ裸婦像にまとひつく     窪田 季男

 中尾 礼子

気り入りの皿に湯気立つ煮大根     竹中 敏子

初鏡齢隠さず映りをり         深川 隆正
初春や黒く光れる長烏帽子       岡山 裕美
山里の鳥声呑みて山眠る        土屋 順子
初場所や贔屓力士の肩のはり      太田美代子
寒卵光れる無人販売所         うすい明笛
初日浴びまずは一献朝の膳       川尻 節子
焼薯屋軍手の煤の頼もしき       渡部 芋丸
雪が降る十五万石の城下なる      布谷 仁美
急坂の四駆横目に雪を掻く       星私 虎亮
露天湯に先客ひとり冬の朝       松井 春雄
白嶺を背に近江の麦青む        櫻井眞砂子
軒下にふくら雀が見へ隠れ       西岡みきを
山焼きしその夜の星のかがやけり    中田美智子
幾度も仰ぐみ空や春隣         瀧下しげり
金鵄の碑立つ小阜を初鴉        北田 啓子
添筆の賀状辞退の文字寂し       髙松美智子
苗もらい釣瓶落しの庭に急く      水谷 道子
異国語の飛び交ふ車内春日和      中尾 光子
観音の里に水音春近し         浅川加代子
ファインダーの富士の嶺よぎる初鴉   川口 恭子
たつたひとつ買ふ百円の寒卵      原  茂美
節料理謂れあれこれ取り分けぬ     長岡 静子