誌上句会

第392回  作品集

(3月1日 更新)

※会員専用です※

・投句される方は必ず選句してください。
・投句は未発表作品に限ります。
・特選、入選を各一句選び、本誌・巻末の用紙又はメールにて送付して下さい。

A01 白波の風にたつごと野水仙
A02 初神籤神のお告げは女難あり
A03 とつおいつ俳句三昧春を待つ
A04 初鏡齢隠さず映りをり
A05 春光や湖国見守る近江富士
A06 年明けて七曜早し初句会
A07 元旦の朝寝楽しむ光かな
A08 初春や黒く光れる長烏帽子
A09 薄氷のすきとほる日やミント植う
A10 一歩目の昭和百年初詣
A11 人声とほどよき起伏梅探る
A12 マフラーの赤を選んで真知子巻
A13 賀状来ぬ友へ無事かとメール打つ
A14 園児の描くへびは笑顔や冬うらら
A15 お年玉貰ふ時みな素直なり
A16 特選の孫の絵に喜ぶ冬日
A17 謡会終へて燗酒勢みけり
A18 消火器に積もる埃も十二月
A19 産土に響く柏手春近し
A20 初詣一家全員揃ふたり
A21 椀の蓋とればほのぼの春隣
A22 山里の鳥声呑みて山眠る
A23 鐘の音に瞬く星の淑気かな
A24 祖母の手の皺思ひ出す葛湯かな
A25 奥多摩に残る古民家鳥総松
A26 晴れやかに伊吹嶺雪をかがやかす
A27 そこの人と我が名呼ばれし村時雨
A28 田仕舞の煙一すじ夕日落つ
A29 雪解けの五箇の切妻湯気吹けり
A30 橋三つ渡りて厄を払ひけり
B01 初場所や贔屓力士の肩のはり
B02 ソーラーで踊る玩具や春浅し
B03 片方を失せし手袋抽斗に
B04 寒卵光れる無人販売所
B05 家仕舞ひ軒に風鈴ひとつあり
B06 朝寒の看護師の指脈をとる
B07 落葉掃く生ける証を積もらせて
B08 初日浴びまずは一献朝の膳
B09 七草や米の五勺で足る暮らし
B10 大寒の朝の味噌汁熱めかな
B11 焼薯屋軍手の煤の頼もしき
B12 寒の入り須磨の関屋に主なし
B13 日の色も昨日と違ふ初景色
B14 悴みて受くる漏水調査かな
B15 ゆきひらの七草粥に霰餅
B16 泣くが為目はありしかと啄木忌
B17 朝まだき車窓から見る寒の月
B18 寒暁の光になぞる相聞歌
B19 川原に遊ぶ寒禽紋著し
B20 深更の犬の遠吠え冬の月
B21 一人見る少し寂しき初景色
B22 雪が降る十五万石の城下なる
B23 急坂の四駆横目に雪を搔く
B24 大寒に靄のたなびく関ヶ原
B25 百歳を真中にすえて初写真
B26 左義長の炎は蛇の形して
B27 文末に今年で止の年賀状
B28 あれこれと思ひ出語る年の暮
B29 春を待つ介護施設の車椅子
B30 この年は昭和百年めでたけり
C01 旧正や福のランタン赤赤と
C02 移りゆく季の一齣や冬木立
C03 薔薇芽吹くひそかに棘を育てつつ
C04 結界の丹の橋ちさし春の雪
C05 整然と燃えたつ奈良のお山焼
C06 朝上がり土黒々と春きざす
C07 雪女兎となりて森に消ゆ
C08 古き枹焚火に投げる供養かな
C09 ともかくも正法眼蔵読みはじむ
C10 人いきれ八坂神社の初詣
C11 露天湯に先客ひとり冬の朝
C12 蠟梅の一枝の香り目覚む室
C13 初凧さは平城京の穏しくて
C14 白嶺を背に近江の麦青む
C15 春待つや苔玉に水吹きかけて
C16 絵手紙に夢の一文字春立てり
C17 黄昏のバス停に吾と裸木と
C18 福豆やだれも被らぬ鬼の面
C19 糸引けば青空の凧頷けり
C20 晩節を約しく暮らす去年今年
C21 いくばくか声の昂る初句会
C22 起業せし思ひ貫く去年今年
C23 初弓の晴れ着に掛くる白襷
C24 静かなる雨の一日も松の内
C25 編み込みの整ふ茶髪初鏡
C26 搦手に落城のあと蕗の薹
C27 寒ゆやけ京の七口もとほれば
C28 被災地の能登を思ひて年惜しむ
C29 軒下にふくら雀が見へ隠れ
C30 ゆつくりと足伸ばし入る初湯かな
D01 奈良の墨ほのかに匂ふ筆始
D02 冬景色目と耳命マーラー八番
D03 実千両庭に配する珪化木
D04 山焼きしその夜の星のかがやけり
D05 春立つや肺の隅まで大気吸ふ
D06 流麗なる水墨のごと鳥渡る
D07 早壽なる子にも笑まひてお年玉
D08 冬うらら逆打ちでする御砂踏み
D09 山越えの自転車帰る冬の海
D10 身ほとりに下ろし立てなど年新た
D11 幾度も仰ぐみ空や春隣
D12 寒晴や石垣のそり慄然と
D13 金鵄の碑立つ小阜を初鴉
D14 蹲踞の水を揺らせる落椿
D15 春を待つ少年達のバッテング
D16 地下足袋は肌の感覚麦を踏む
D17 添筆の賀状辞退の文字寂し
D18 明かり落しただ凍星を見つめをり
D19 冬うらら旧知の友とパンケーキ
D20 春近し清らかに鳴く鳥が来て
D21 苗もらい釣瓶落しの庭に急く
D22 それぞれの句にうなづきぬ春隣
D23 手鞠唄なかなか東寺まで行けず
D24 日脚伸ぶ余光あふるる神の杜
D25 読み難き賀状の友を思ひやる
D26 異国語の飛び交ふ車内春日和
D27 日脚伸ぶこれより斎庭てふ札に
D28 年玉に新券三種包みけり
D29 浅沓の音響きたり寒牡丹
D30 獅子舞にかまれ泣く子も笑ふ子も
E01 ビルあはひの燃える火の玉寒ゆやけ
E02 呼込みに買ひぬのし飴初戎
E03 観音の里に水音春近し
E04 ファインダーの富士の嶺よぎる初鴉
E05 猪鍋や三百年を経し暖簾
E06 鳶の声雪後の天を震はせる
E07 参道に待春の灯やほのと揺れ
E08 たつたひとつ買ふ百円の寒卵
E09 水鳥の水面五十歩走り翔ぶ
E10 松活けて床改まる冬座敷
E11 雑煮食ぶ言葉少なく母と子と
E12 大寒やリハビリ励む杖の友
E13 裸木の濃きシルエット朝ぼらけ
E14 新年の花は伸びのび活けるべき
E15 竹爆ぜて思ひも爆ずるどんど焼
E16 風花が立つ裸婦像にまとひつく
E17 節料理謂れあれこれ取り分けぬ
E18 初雪や愛宕の山の近く見ゆ
E19 気り入りの皿に湯気立つ煮大根
E20 眠られぬ寒夜のラジオ深夜便
E21 恵方巻病平癒を祈りつつ
E22 学舎の朝礼の子ら息白し