第388回 作品集
(11月1日 更新)
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A01 姉妹老い尽きぬ話やふかし芋
A02 満月や篠笛の音の澄みわたり
A03 子の地へと琵琶湖を右に見て初秋
A04 望月や足るを知りたる老の恋
A05 秋分に義父の鉛筆削りをり
A06 十六夜の雲を引き裂く曙光かな
A07 鶏鳴に目覚めし秋の鄙の宿
A08 糶終へて市場寂たり秋の雨
A09 瑞山に霧おり初むる都祁の里
A10 米研ぐや刻刻台風迫り来る
A11 城山をドローン巡る空高し
A12 雲の無き良夜となりて月今宵
A13 風船蔓微風にそよと揺るる朝
A14 その中にべつぴんもゐる案山子展
A15 篠垣のおとこ結びや秋ざくら
A16 待ちかねて秋を探しに六甲へ
A17 秋の蟹右に左にすばしこし
A18 秋霖や残欠著き無縁仏
A19 雨だれのリズムに浸る雨月かな
A20 散るよりも咲く淋しさの曼珠沙華
A21 夕暮れの田に風吹いて蜻蛉舞ふ
A22 秋真昼賑はふコインランドリー
A23 家々へ被さるやうや薄紅葉
A24 一刀彫りやのみ音響き秋澄めり
A25 鷹渡る雲間より見え隠れして
A26 国もんへ指笛響動む九月場所
A27 もし活けて良ければどうぞ草虱
A28 白球と遊ぶ親子や天高し
A29 台風や今日は中止と紙を貼る
A30 産卵の瞬時逸せぬ間夫の鮭
B01 惜しまれて吟友は逝きたり秋の風
B02 日の匂四方に広げて稲穂揺る
B03 月光や竹群の音さわさわと
B04 本膝にうつらうつらの秋の昼
B05 石鎚の御神酒いただく山の秋
B06 子を連れて次男立ち寄る良夜かな
B07 えびマヨが寿司に盛られて秋進む
B08 コスモスや古きテレビでフオーク聴く
B09 曳かれゆく牛の尾の跳ぬ黍嵐
B10 奈良町をこずゑに透かす鵙日和
B11 恙無き暮しの日々や秋刀魚焼く
B12 浮図田の風にゆれゐるおかととき
B13 枯れ枝に緋の色彩ふ秋茜
B14 堀沿ひの小ぶりなる松秋手入
B15 鳥どちの渡りの頃や秋気澄む
B16 寂しさやマスカットフラッペつつく
B17 ネットにて買ひし新米ずしり重
B18 手を握るだけの見舞や星月夜
B19 関八州統ぶる筑波の天高し
B20 パンダ舎に長居は出来ぬ秋日和
B21 新藁のけむりの匂ふ交差点
B22 小流れの底石白し水の秋
B23 青垣の影をさだかに月今宵
B24 母校跡の児童公園小鳥来る
B25 みはるかす田の色違へ実る秋
B26 練塀にぶらりと揺るる糸瓜かな
B27 差し向かふ厨に白き曼珠沙華
B28 かなかなや少年心病みにけり
B29 秋澄むや反橋の朱の鮮やかに
B30 正解と児に褒めらるる夜長かな
C01 四季咲きの薔薇が数輪台風裡
C02 流星のいくたび伊吹山あたり
C03 子と探す魚の雲や秋うらら
C04 千の眼の千手観音秋思ふと
C05 生ぬるき襟の湿りも野分めく
C06 雁がねの行く手に待つはマトリョウシカ
C07 短日の極まる今日の日差しかな
C08 炎天に野猫の世話を焼く御仁
C09 大山へ雲の集まる厄日かな
C10 秋高し嬰児の声高らかに
C11 秋近し銅山川の水白し
C12 身に入むや悲恋縁起の安珍塚
C13 秋の蚊や言いたきことは言わぬまま
C14 むつき入るリュック背負ふ児秋うらら
C15 おしろいの実割りてしばしなつかしき
C16 空蟬を胸に並べて夏終り
C17 めつきりと秋七草の減りにけり
C18 おもひ込めかわらけ飛ばす秋の湖
C19 花とべら海見る後姿かな
C20 パリ五輪胸にメタルの夏終る
C21 大甕にユッカ投げ込む峡の宿
C22 漕艇の滑る水面の秋の河
C23 門に出て帰る子を待つ夕月夜
C24 行く道の遠く思へる無月の夜
C25 生かされて八十路も末の敬老日
C26 台風を追いくるごと消防車
C27 曼珠沙華逃げも隠れも出来ぬ赤
C28 昔むかし路地裏に焼く秋刀魚の香
C29 戦せぬ月日重ねて秋高し
C30 糸瓜忌や十七日の月今宵
D01 一天の宇宙のあはひ星流る
D02 鐘に明け鐘に暮れゆく古都さやか
D03 椋鳥の騒げる樹下や赤ポスト
D04 蜩や運転免許返納す
D05 紅白の萩のこぼるる夫婦句碑
D06 名月や春日の山に芳しく
D07 望の夜や行灯ほのと大和文字
D08 名月と我が身向き合ひ窓際に
D09 一泊の検査入院秋ともし
D10 浮舟の古蹟さやかに三室戸寺
D11 茜雲追ふ間に釣瓶落しかな
D12 秋うらら話好きなる友五人
D13 見まほし奈良公園の紅葉かな
D14 曼殊沙華神御座すごと静もれり
D15 名月にひときは香るプルメリア
D16 石榴裂けルビーのごとき実をつまむ
D17 黄金色の稲穂の垂るる棚田かな
D18 声変わりせし子もまじる新学期
D19 硝子戸に溢るる空や色鳥来
D20 踊り子の白き指先しなやかに
D21 山深き大和は豊か稲穂刈る
D22 ギヤマンのグラス掲ぐる十六夜
D23 敬老日の食事少しははづみけり
D24 霊峰の木々の息吹を霧と成す
D25 確固たる決意などなし心太
D26 仲秋の月を真中に雲走る
D27 垣越しに揺るる色濃き実紫
D28 潮の香の強き磯辺や十六夜
D29 蟷螂がさかさに覗く厨窓
D30 黒猫にひたと見らるる夢二の忌
E01 十六夜や母の享年すでに越へ
E02 番茶しか出すものはなし島夜寒
E03 十月の空憂きを晴らし深呼吸
E04 本名の時期少しずる曼珠沙華
E05 紫苑咲く時刻違はず貨車の音
E06 湯で温め甘み増しゐる新豆腐
E07 一言を言へず見つむる虫の闇
E08 名月や長らへて我合掌す
E09 容赦なき異常気象の秋出水
E10 蝗飛ぶパールバックの大地ふと
E11 夕映えの橋の向かうへ秋の蝶
E12 澄む秋の風に水皺のきらめけり
E13 雨上がり庭に蚯蚓の這ひし道
E14 風車見ゆる畑に揺れゐる秋桜
E15 石に寄る魚影くつきり秋の川
E16 病癒え戻りし庭に赤とんぼ
E17 三従の先妣を偲ぶ吾亦紅
E18 あをあをと新藁匂ふ畷ゆく
E19 一群れの蜻蛉を追ふ子網を振る
E20 十六夜やふいに現る深夜バス
E21 なほ聞こゆ苅田越えくるおわら節
E22 大人の歯待つ子の笑みや風薫る
E23 壁を背に正す姿勢や虫の夜
E24 十六夜の琵琶の音まとふ多宝塔
E25 五千歩は私のルーティン秋の朝
E26 大仏の眼窩は平ら秋日和
E27 石鍋に赤き甘諸や香り満つ
E28 燕去ぬ今年生まれし子を連れて
E29 月今宵またこそかかる晴夜かな
E30 雫して山霧中の誘導員
F01 銀輪や直ぐなる海道さるすべり
F02 戻りきて御飯より先氷菓食べ
F03 爽涼や石橋渡り尼寺へ
F04 秋澄むや杜の葉擦れのさはさはと