シリウス宇宙句会(11月15日更新)

          シリウス宇宙句会は「雲の峰」メンバー対象のバーチャル句会です

 

<第464回 作品集>

A01  野紺菊小くまぎれて咲きにけり

A02  道の辺の小風諾ふ野菊かな

A03  出外れにでんぼ地蔵や野菊咲く

A04  山路行き地蔵に供す野紺菊

A05  魅するのは紫色の野菊なり

A06  砥部焼の土瓶に活くる野紺菊

A07  行く道のあちらこちらに野菊咲く

A08  寂聴の法話聞き入る秋の果

A09  荒々しきゴッホの描く秋の雲

A10  黎明に目を見はるごと野菊咲く

A11  行く秋やゆとりなき日を重ねきて

A12  野紺菊不要となりし登り窯

A13  比丘尼寺早や咲きそむる野紺菊

A14  隧道を抜けて野菊の景となり

A15  鰯雲「野菊の墓」の文学碑

A16  吾子眠る茣蓙を囲める野紺菊

A17  野菊手にタラップのぼる少女かな

A18  野紺菊代の替はりし尼の寺

A19  野紺菊山の上なる水族館

A20  卓上に野菊一輪峠茶屋

A21  曇天の屋根に雨音野紺菊

A22  野仏に楚楚と揺れゐる野菊かな

A23  群れ咲くやわけて野菊の色やさし

A24  草原の風にそよげる野紺菊

A25  野紺菊島に空き家の一つ増ゆ

A26  薬売り通りし道や野菊咲く

A27  チップ敷く山路に群るる野菊かな

A28  紺菊を供花に足しゐる母忌日

A29  畑の隅で遊ぶ子の持つ野紺菊

A30  慈眼寺に俳句ポストや冬ぬくし

A31  夕映えの陽を満々と野紺菊

A32  尼寺へ辿る道なり野菊咲く

A33  街騒にひそと揺れゐる野菊かな

A34  甦る初恋の日や野紺菊

B01  行く秋のおばしまに身を任せけり

B02  野路菊の揺るる城趾や昼深し

B03  行く秋の心に沁むる薬草茶

B04  行く秋やただ念仏と説く住持

B05  野菊供へ親しき友の墓洗う

B06  行く秋の吟詠響く宴かな

B07  吹く風に秋の名残の葉が揺るる

B08  行く秋や油抜かるる耕運機

B09  行く秋の虹の松原波し吹く

B10  行く秋のともしに開く句会報

B11  コーヒーの御代り頼む秋の末

B12  白き帯山に現る秋の末

B13  行く秋や須田の絵に会ふ美術館

B14  行く秋やチャペルの音の漁師村

B15  行く秋の雨に靄立つ信貴の山

B16  行く秋や人づてに聞く友のこと

B17  龍吼に秋の名残の手を打ちぬ

B18  行く秋や絹糸も切れぬ糸切歯

B19  野を駆くる仔馬の足も秋の果て

B20  咳こんで激しく歪む顔となる

B21  行く秋の高原野菜の柔らかさ

B22  自転車の錆や汚れや秋の果

B23  行く秋や迷ひながらも蔵書棄つ

B24  ひうひうと音立てて秋行きにけり

B25  行く秋や妻と大目にもとほりぬ

B26  ゆく秋や叶への杉を篤と撫で

B27  風さやぐ曲輪の跡や秋の末

B28  行く秋や言ふともなしに独り言

B29  行く秋の風の穏けき鞍馬寺

B30  行く秋や色の褪せたる旅鞄

B31  地平まで夕映ゆる空秋の果

B32  入相の鐘もかすかに末の秋

B33  山峡に柿の巨木や残る秋

B34  生きるとは味はふ事と野菊道

C01  落花生炒るや土産の五粒ほど

C02  はんなりと話す媼や冬ぬくし

C03  色の良き初生り柿を供へたり

C04  やはらかき京の時雨を歩きけり

C05  散策の我を追い越す赤マフラー

C06  葭原は安寧の場所鴨来る

C07  長き夜や書き留めし句の整理など 

C08  どの国も国歌貴し菊ひらく

C09  鉄棒にぶらと勤労感謝の日

C10  三代の合唱響く文化祭 

C11  草刈りて畑に盛れば秋の雲

C12  コスモスの広がる先に日本海

C13  もふもふの赤きコキアや冬ぬくし

C14  柘榴落ち数多の粒が日を弾く

C15  立冬の風満身を通り抜け

C16  人並みの覚悟無きまま冬に入る

C17  行く秋や地蔵の当て子色褪せて

C18  山路来て墓に千振多に咲く

C19  窓を打つ闇夜の風の冬めける

C20  仕上げにとストール巻きてお粧しす

C21  秀吉の名護屋城跡神渡し

C22  名も知らぬ小さき寺に萩こぼれ

C23  砂時計返す小春のテイタイム

C24  続けたき孫との遊び小六月

C25  生駒嶺をあふぎ白湯のむ今朝の冬

C26  露時雨色づき荒るる河川敷

C27  小春日や逞しき背の四天王

C28  歳時記繰る小春日和の空眺め

C29  潮流の匂ふ河口の浮寝鳥

C30  ふわふわと児の言ふ布団冬に入る

C31  野菊咲く道を一駅歩きけり

C32  椎の実を踏みしめ歩む参詣路

C33  衝羽根の色付きて宮しづかなり

C34  苔むして基盤寂びゐる秋深し

以上

 

<第463回 披講>

<12点>

 島津康弘・うすい明笛・西岡みきを・谷野由紀子・上西美枝子・瀧下しげり・板倉年江・春名あけみ・山下之久・斎藤摂子

 榎原洋子・渡邊房子

法要も団欒となる小春かな          浜野 明美

 

<11点>

 藤田壽穂・三澤福泉・原田千寿子・大塚章子・五味和代・谷野由紀子・上西美枝子・伊藤月江・大野照幸・浜野明美・金子良子

ちちろ鳴く木桶の並ぶ醤油蔵         板倉 年江

 

<8点>

 うすい明笛・今村雅史・五味和代・原田千寿子・谷野由紀子・瀧下しげり・大野照幸・渡邊房子

この島に住みながらへてとろろ飯       島津 康弘

 

<6点>

 三澤福泉・伊藤月江・谷野由紀子・上西美枝子・瀧下しげり・金子良子

蘭の香や椅子もゆかしき貴賓館        小澤  巖

 藤田壽穂・原田千寿子 ・板倉年江・瀧下しげり・春名あけみ・榎原洋子

清明の産湯の井とやちちろ鳴く        谷野由紀子

 島津康弘・伊藤月江・大塚章子・山内英子・中村克久・金子良子

金堂に響く読経や月いよよ          中川 晴美

 藤田壽穂・大塚章子・角野京子・木村てる代・渡邊房子・関口ふじ

荒磯の小き鳥居や神送            三澤 福泉

 

<5点>

 西岡みきを・伊藤月江・角野京子・山下之久・星私虎亮

故郷に目覚めし心地ちちろ鳴く        島津 康弘

 今村雅史・谷野由紀子・上西美枝子・榎原洋子・金子良子

晩学の辞書引く夜をちちろ虫         小澤  巖

 西岡みきを・山内英子・春名あけみ・田中よりこ・関口ふじ

身に入むや橋の擬宝珠に刀傷         松井 信弘

 

<4点>

 島津康弘・五味和代・大野照幸・渡邊房子

打ち捨てし釜の中よりちちろ出ず       山内 英子

 藤田壽穂・三澤福泉・上西美枝子・瀧下しげり

埋められぬパズル一枡夜のちちろ       中村 克久

 住田うしほ・うすい明笛・田中よりこ・関口ふじ

一雨の過ぎし草叢ちちろ鳴く         浜野 明美

 小澤巖・大塚章子・山内英子・中村克久

烏瓜熟れて筑波の今日の秋          住田うしほ

 

<3点>

 原田千寿子・浜野明美・金子良子

祝ぎ事の近し蘭の香匂ひたつ         春名あけみ

 角野京子・田中よりこ・五味和代

猿顔の蘭の花咲く植物園           板倉 年江

 うすい明笛・今村雅史・斎藤摂子

秋蘭を活けて始まる米寿会          大塚 章子

 中村克久・山内英子・星私虎亮

ちちろ鳴く古き墓石の積み置かれ       うすい明笛

 田中よりこ・木村てる代・斎藤摂子

蟋蟀や門差し時の抜け小路          藤田 壽穂

 うすい明笛・浜野明美・関口ふじ

埋められし落城跡やちちろ鳴く        松井 信弘

 島津康弘・住田うしほ・中村克久

手折り来し花挿す鉢に望の月         五味 和代

 

<2点>

 住田うしほ・春名あけみ

室内の蒸せる熱気や蘭百種          うすい明笛

 斎藤摂子・星私虎亮

エメラルド婚宿のロビーの蘭の花       三澤 福泉

 西岡みきを・日澤信行

蘭を刈り姉健やかに居間飾る         榎原 洋子

 小澤巖・田中よりこ

蘭の香や新婦の笑みの零れ落つ        住田うしほ

 西岡みきを・大野照幸

ダンスして歌ふをみなや蘭の花        松井 信弘

 原田千寿子・浜野明美

葉隠れに花色楚々と蘭にほふ         五味 和代

 角野京子・日澤信行

かたはらに大入袋蘭の秋           関口 ふじ

 島津康弘・榎原洋子

住み旧りてちちろの闇に親しめり       中川 晴美

 小澤巖・日澤信行

蟋蟀や星覗き見る外厠            今村 雅史

 渡邊房子・日澤信行

初紅葉反りうるはしき三重の塔        木村てる代

 藤田壽穂・山下之久

コスモスを揺らし大和の風そよぐ       瀧下しげり

 小澤巖・住田うしほ

秋の夜や季寄せの側に虫眼鏡         谷野由紀子

 板倉年江・山下之久

風と来て葉裏に憩ふ秋の蝉          西岡みきを

 

<1点>

 星私虎亮

新装開店に並みゐる白き蘭の花        田中よりこ

 伊藤月江

晩年の背をまろやかに蘭の秋         今村 雅史

 山内英子

爽やかに蘭の香満つる診察後         大野 照幸

 春名あけみ

新築の医院に蘭の溢るほど          木村てる代

 木村てる代

鉢植ゑの蘭もまぶしき開店日         朝妻  力

 木村てる代

オープンを祝ひて鉢の蘭香る         藤田 壽穂

 大塚章子

地味なれど香りの高き蘭の花         瀧下しげり

 山下之久

周年の祝の蘭の香りかな           山内 英子

 大野照幸

散り初むる蘭に近付き深呼吸         西岡みきを

 住田うしほ

香をほのと出窓に映ゆる蘭の花        中川 晴美

 板倉年江

ラウンジにピアノ静けし蘭の秋        伊藤 月江

 関口ふじ

茅葺きの家の床下ちちろ鳴く         原田千寿子

 中村克久

暗き道誰にも会はず虫の闇          渡邉 房子

 今村雅史

椰子の実の歌碑に集くる昼ちちろ       角野 京子

 小澤巖

ちちろ虫辻に夫婦の道祖神          三澤 福泉

 角野京子

つづれさせ明日着る服を枕辺に        上西美枝子

 三澤福泉

雨夜の庭静寂に声を置くちろろ        松美智子

 榎原洋子

一匹で闇を震はすちちろ虫          日澤 信行

 木村てる代

蟋蟀や櫓に美しき算木積           伊藤 月江

 斎藤摂子

ちちろ鳴く旧国鉄の総裁邸          木村てる代

 浜野明美

大ぶりの芙蓉が墓地をあかるうし       春名あけみ

 日澤信行

秋風に切り離されし三両目          角野 京子

 五味和代

公園のフリマにさがす秋の色         田中よりこ

 星私虎亮

秋夕焼コジラに見ゆる立木かな        山内 英子

 三澤福泉

餡だけをへつりて母の月見かな        金子 良子

 今村雅史

秋麗や小き橋にも名のありて         上西美枝子

 板倉年江

蟋蟀や風吹き抜くる城の址          伊藤 月江

以上

 

 

<主宰選>

=特選=

蘭の香や椅子もゆかしき貴賓館       小澤  巖

オープンを祝ひて鉢の蘭香る        藤田 壽穂

秋蘭を活けて始まる米寿会         大塚 章子

ちちろ鳴く木桶の並ぶ醤油蔵        板倉 年江

蟋蟀や門差し時の抜け小路         藤田 壽穂

故郷に目覚めし心地ちちろ鳴く       島津 康弘

住み旧りてちちろの闇に親しめり      中川 晴美

蟋蟀や櫓に美しき算木積          伊藤 月江

公園のフリマにさがす秋の色        田中よりこ

手折り来し花挿す鉢に望の月        五味 和代

秋夕焼コジラに見ゆる立木かな       山内 英子

金堂に響く読経や月いよよ         中川 晴美

この島に住みながらへてとろろ飯      島津 康弘

身に入むや橋の擬宝珠に刀傷        松井 信弘

 

=入選=

新装開店に並みゐる白き蘭の花       田中よりこ

エメラルド婚宿のロビーの蘭の花      三澤 福泉

晩年の背をまろやかに蘭の秋        今村 雅史

蘭の香や新婦の笑みの零れ落つ       住田うしほ

新築の医院に蘭の溢るほど         木村てる代

周年の祝の蘭の香りかな          山内 英子

猿顔の蘭の花咲く植物園          板倉 年江

ダンスして歌ふをみなや蘭の花       松井 信弘

秋蘭を活くる花瓶の白さかな        上西美枝子

散り初むる蘭に近付き深呼吸        西岡みきを

かたはらに大入袋蘭の秋          関口 ふじ

香をほのと出窓に映ゆる蘭の花       中川 晴美

苔むせる祠への道蘭匂ふ          島津 康弘

ラウンジにピアノ静けし蘭の秋       伊藤 月江

ちちろ虫辻に夫婦の道祖神         三澤 福泉

新幹線通過のあとにちちろ鳴く       大塚 章子

埋められぬパズル一枡夜のちちろ      中村 克久

埋められし落城跡やちちろ鳴く       松井 信弘

つづれさせ明日着る服を枕辺に       上西美枝子

蟋蟀や星覗き見る外厠           今村 雅史

晩学の辞書引く夜をちちろ虫        小澤  巖

一雨の過ぎし草叢ちちろ鳴く        浜野 明美

ちちろ鳴く旧国鉄の総裁邸         木村てる代

蟋蟀や隣家に立ちし売家旗         五味 和代

初紅葉反りうるはしき三重の塔       木村てる代

秋風に切り離されし三両目         角野 京子

水澄めば思ひは遥か信濃路へ        大野 照幸

御洒落してワイン煮込みの鹿を食ぶ     板倉 年江

登高す古城に探る隠れ道          小澤  巖

徐々に聞く目覚しの音秋半ば        日澤 信行

コスモスを揺らし大和の風そよぐ      瀧下しげり

いくたびも労ひ賜ふ月夜かな        関口 ふじ

秋の夜や季寄せの側に虫眼鏡        谷野由紀子

荒磯の小き鳥居や神送           三澤 福泉

萱葺きの家に揺れゐる白き花        大塚 章子

餡だけをへつりて母の月見かな       金子 良子

遅まきに金木犀の香り初む         藤田 壽穂

秋麗や小き橋にも名のありて        上西美枝子

法要も団欒となる小春かな →法要の    浜野 明美

蟋蟀や風吹き抜くる城の址         伊藤 月江

風と来て葉裏に憩ふ秋の蝉         西岡みきを

 

=佳作=

室内の蒸せる熱気や蘭百種         うすい明笛

住み旧りて早寝早起き蘭の花        角野 京子

蘭の香や芝生をいつのまにか踏み      星私 虎亮

立見して腕に風来る蘭の秋         日澤 信行

葉隠れに花色楚々と蘭にほふ        五味 和代

地味なれど香りの高き蘭の花        瀧下しげり

清明の産湯の井とやちちろ鳴く       谷野由紀子

ぬらりきらりして飛び出せるつづれさせ   瀧下しげり

茅葺きの家の床下ちちろ鳴く        原田千寿子

花浮かぶ水鉢の辺にちちろ鳴く       斎藤 摂子

日も過ぎてか細く鳴きぬちちろ虫      金子 良子

ちちろ鳴く中途で止まる家普請       田中よりこ

祖の思ひ伝ふる如くちちろ鳴く       住田うしほ

青々と港にかかる朝満月          うすい明笛

蘭の香に主の礼や店オープン        榎原 洋子

 

 

<感想と添削>

原句 祝ぎ事の近し蘭の香匂ひたつ

感想 香があれば匂は邪魔になります

添削 祝事の近しと蘭の匂ひたつ         春名あけみ

 

原句 蘭を刈り姉健やかに居間飾る

感想 ここは刈るよりも剪るでしょうね

添削 蘭剪りて姉健やかに居間飾る        榎原 洋子

 

原句 式場を華やかにして蘭の秋

感想 して、口語調が漂います

添削 式場を華やかに蘭の秋香りけり       金子 良子

 

原句 新しきホテルロビーに蘭溢る

感想 ホテルの、「の」が欲しい所です

添削 新しきホテルのロビー蘭香る        原田千寿子

 

原句 ますますに空澄み高き蘭の秋 

感想 季重り感大です

添削 青空のますます深し蘭の秋         山下 之久

 

原句 爽やかに蘭の香満つる診察後

感想 季重りになりました

添削 ふくいくと蘭の香満つる診察後       大野 照幸

 

原句 引越しにも持て来る蘭や白き花

感想 説明が冗長になりました

添削 引越しに持て来る白き蘭の鉢        渡邉 房子

 

原句 友の家へ十年越しの欄を見に

感想 欄→蘭 変換ミスですね

添削 友の家へ十年越しの蘭を見に        谷野由紀子

 

原句 贈りけり小六の師へ蘭の香を

感想 語順を整えます

添削 小六の時の恩師に蘭送る          斎藤 摂子

 

原句 花舗の奥店灯明るき蘭の鉢

感想 花舗・店、同義語です

添削 花舗の灯を明く商ふ蘭の鉢         中村 克久

 

原句 鉢の蘭水遣り久の客迎ふ

感想 三段に切れました。一句一章の内容です

添削 蘭に水遣りて久しき客迎ふ         松美智子

 

原句 庭先に秋蘭の鉢香のさやか

感想 さやかだと秋の季語。清かと書いて季重りを逃げます

添削 庭先に鉢植ゑの蘭香の清か         浜野 明美

 

原句 打ち捨てし釜の中よりちちろ出ず

感想 出ずは否定。出ないことになります。ここはづ

添削 打ち捨てし釜の中よりちちろ出づ      山内 英子

 

原句 水やりを始めばちちろ鳴きをさむ

感想 文語では始むれば となるのでしょうね。

添削 水遣りに庭のちちろの鳴き止みぬ      大野 照幸

 

原句 ちちろ鳴く古き墓石の積み置かれ

感想 置かれ 連用形ですがここは二句一章で

添削 ちちろ鳴く墓石積まれゐる古刹       うすい明笛

 

原句 暗き道誰にも会はず虫の闇

感想 状況説明に終止しました

添削 人影のなき裏路地や虫の闇         渡邉 房子

 

原句 椰子の実の歌碑に集くる昼ちちろ

感想 集く、五段活用ですので、命令形+る 集ける となります

添削 椰子の実の歌碑に集ける昼ちちろ      角野 京子

 

原句 苑深し蘭の近くに人を待つ

感想 原句も可ですが、少し趣向を変えます

添削 蘭の咲く園のふかきに人を待つ       榎原 洋子

 

原句 重宝のものもごみ捨てちちろ鳴く

感想 重宝する、動詞を「に」に置き換えは無理です

添削 資源ごみ出す日の路地やちちろ鳴く     山下 之久

 

原句 ちちろ虫楽才惜むことのなく

感想 良い感覚。擬人化よりも作者自身の様子を詠みます

添削 楽才を愛でて目つむるちちろの夜      星私 虎亮

 

原句 雨夜の庭静寂に声を置くちろろ

感想 庭で切れます。また、置くという擬人化強すぎる印象です

添削 雨止みし庭に静けきちちろ虫        松美智子

 

原句 ちちろ鳴く止めてまた鳴く夜の庭

感想 止むは五段活用ですので、文語では止みてが適切です

添削 鳴き止みてまた声あぐるちちろかな     西岡みきを

 

原句 一匹で闇を震はすちちろ虫

感想 震はす、終止形ですのでここで切れてしまいます。震はすると連体形に

添削 一匹で闇震はするちちろ虫         日澤 信行

 

原句 ちちろ鳴く明け方近し声のはり

感想 近し、終止形ですので声に繋がってくれません

添削 ちちろ鳴き明け方の闇張り詰めぬ      春名あけみ

 

原句 神水に指が触るるやちちろ鳴く

感想 この使い方だと神水が夏の季語になります

添削 神域に湧く水の辺にちちろ鳴く       関口 ふじ

 

原句 大ぶりの芙蓉が墓地をあかるうし

感想 切れがありません。しを終止形の す に

添削 大ぶりの芙蓉が墓地をあかるうす      春名あけみ

 

原句 きざはしに夫婦の休む秋遍路

感想 中七・下五、意味が通じません

添削 きざはしに休む夫婦の秋遍路        今村 雅史

 

原句 烏瓜熟れて筑波の今日の秋

感想 季重りになりました

添削 烏瓜熟れて筑波の空青し          住田うしほ

 

原句 綿虫や時刻表の作成日

感想 中六、字足らずです

添削 綿虫や旧りたるバスの時刻表        山下 之久

 

原句 妻の寝息誰に憚るちちろ鳴く

感想 意味不通となりました

添削 ちちろの夜妻の寝息もしづかにて      中村 克久

 

原句 小鳥鳴き鴉鳴き合ふ鈍行駅

感想 鈍行駅、語として成立し難い感じです

添削 小鳥鳴き鴉鳴き合ふ木の駅舎        斎藤 摂子

 

原句 時空越ゆ水煙古都の秋深む

感想 越ゆは終止形。時空を何が超えたのか伝わりません

添削 水煙の見ゆるまほろば秋深む        松美智子

 

原句 夫婦樟を八の字巡る秋日和

感想 八の字が巡ったことになります。

添削 八の字に樟の木めぐる秋日和        原田千寿子

 

原句 銀杏や賑やかに地を転つて

感想 賑やか、転がる、擬人化が過ぎるようです

添削 銀杏や地にびつしりと賑やかに       星私 虎亮

 

原句 万博や元気の素がひとつ消ゆ

感想 季語を忘れました

添削 万博の終はり大阪秋深し          渡邉 房子

以上

 

 

【次回兼題】

 冬田  冬田道・休め田・冬の田・冬田面

柳散る 黄柳・柳黄ばむ・散る柳

 自由題

 計3句

【選  句】 5句

【投句締切】 12月10日

【投選句先】 中川 晴美   

       harumi-n@kcn.jp

【発  表】 12月15日

 

【投句方法】

※作業を円滑にするため、行間を空けずに詰めてご記入ください

※当方からの受信済みの返信メールにて、ご自分の送信したメールの行間をご確認下さい

※下記記入例を参考にメール本文に直接書き込んで下さい

 

<記入例>

A03山田太郎 選句番号と選者名を空けずに詰めてご記入下さい。三文字の方も同様。

B09山田太郎

C11山田太郎

C25山田太郎

E21山田太郎

数へ日の日ごとに詰まるスケジュール 兼題の順にご記入下さい。姓号は不要です。

読みかけの文庫伏せある炬燵かな

たらちねの恙無き日や福寿草