シリウス宇宙句会(7月15日更新)

          シリウス宇宙句会は「雲の峰」メンバー対象のバーチャル句会です

 

<第460回 作品集>

A01  麦熟るるうどん県てふ友の里

A02  一面に麦の穂揺るる黄金波

A03  よばし麦炊きたるころの過ぎりけり

A04  夏霧の晴れてくつきり利尻富士

A05  麦畑シャラシャラと風通り過ぐ

A06  麦は穂に河童の住める筑後川

A07  近江線の車窓に揺るる穂麦かな

A08  麦の穂の出揃ふ丹波父帰る

A09  標高差五百余段の麦畑

A10  夕日差ぎゅうぎゅう詰めの麦畑

A11  ハーモニカ途切れとぎれに麦畑

A12  大麦の揺れて煌めく棚田かな

A13  麦の穂や卑弥呼伝説彷彿と

A14  麦畑に隠れ小便している子

A15  熟れ麦や瓦まぶしき石見窯

A16  焼魚ですます昼餉や麦の飯

A17  近在に麦畑消えし令和かな

A18  雨止んで麦の穂揺るる湖の夕べ

A19  日輪に琥珀の穂麦揺蕩ふり

A20  熟れ麦やゆつくり移る雲の影

A21  麦飯の匂ひと色の記憶かな

A22  麦の穂の供へられたる神の前

A23  三輪山の麓に光る麦畑

A24  道の皆めざす八幡麦の秋

A25  一陣の風にゆれいる麦畑

A26  麦畑の畦に広ぐる小き茣蓙

A27  雨粒に跳ねては揺るる麦畑

A28  俺といふ五歳の声や麦畑

A29  篠笛の音色に染むる麦の風

A30  きのふけふ細波染むる穂麦かな

A31  麦の穂の見えて故郷近づきぬ

A32  麦畑押し相撲取る昔ふと

B01  夏霧のかかる港をフェリー出づ

B02  夏の霧湖面の揺らぎや風渡る

B03  夏霧に橋の登りの浮き上がる

B04  夏の霧帝蜂起の山隠す

B05  ほんのりと夏霧残る瀬戸の海

B06  夏霧や高雄の渓の音澄みぬ

B07  夏霧から千木立つ社あれにけり

B08  夏霧や急いて急かされツーショット

B09  国後は隠れまた出づ夏の霧

B10  夏霧の中をゆるりとロープウエー

B11  夏霧をぬけてホテルに到着す

B12  廃屋の旅館に深く夏の霧

B13  陽光の乱反射して夏の霧

B14  切岸を湧き上がりくる夏の霧

B15  夏霧やながながとゆく貨車の列

B16  ロープウエイ夏の霧となりにけり

B17  けふもまた山嶺かくす夏の霧

B18  摩耶山の中腹覆ふ夏の霧

B19  夏霧の濃き蓼科に獣の目

B20  夏霧に溶岩ドーム隠れけり

B21  山近き大和平野や夏の霧

B22  鐘の音を包む夏霧塩くれ場

B23  夏の霧前行く人の靴の音

B24  夏霧の仄漂へる阿蘇五岳

B25  吊橋の途中佇み夏の霧

B26  夏霧の中へゆつくりケーブルカー

B27  中腹の古刹を覆ふ夏の霧

B28  夏霧や生駒の山を登り行く

B29  夏霧の鳥居の奥に社あり

B30  麦畑の先は断崖空青し

B31  夏霧のまとふ丘より鐘の音

B32  大阿蘇の草千里てふ夏の霧

C01  白鳥の化身のごとき半夏生

C02  青紫蘇や笊いつぱいに小走りに

C03  丹念に袋掛けやるぶどう棚

C04  天下異常やうやく蟬の鳴き出しぬ

C05  登り来てお花畑の出現す

C06  鮎釣りや膝に跳ねゐる水の綺羅

C07  正夢の続く母の忌水を打つ

C08  梔子の花の香閨の闇に濃し

C09  休み田の草深々と夏の虫

C10  朝一にゆっくり煮出す麦茶かな

C11  待ちくるるバスへ駆け行く梅雨晴間

C12  炎昼の怪しく動く恐竜像

C13  灼熱に挑むが如く夾竹桃

C14  暮れなずむ翠微彩る合歓の花

C15  麦噛むや少年の日のガム代り

C16  煎餅手に子らが寄りくる鹿子だまり

C17  花合歓の色濃き朝やつづら折り

C18  梅雨明けて満艦飾の庭清し

C19  向日葵の並ぶ投票期日前

C20  凌霄や暗渠の水の密やかに

C21  古着市に若人集ふ梅雨晴間

C22  耳成を見晴らす陵墓麦の波

C23  水打って暖簾の藍を匂わする

C24  炎昼の万博の列延々と

C25  掘割に亀の顔出す梅雨晴間

C26  サングラス外せぬ晴の小買物

C27  ハルカスの膝下に響く作り滝

C28  夏の園樹下に寄り来る鳩しづか

C29  海開き清掃作業に高齢者

C30  透き通る裏見の滝のしぶき浴ぶ

C31  山の日や川瀬に魚を追ふ猿

C32  龍のごとき噴煙上がる梅雨晴間

以上

 

 

<第459回 披講>

<7点>

 三澤福泉・住田うしほ・上西美枝子・中村克久・松美智子・渡邊房子・榎原洋子

捥ぎたての青梅光る洗ひ桶         谷野由紀子

 

<6点>

 うすい明笛・原田千寿子・上西美枝子・板倉年江・伊藤月江・関口ふじ

カリヨンの響く広場の新樹かな       松井 信弘

 

<5点>

 小澤巖・田中よりこ・伊藤月江・木村てる代・斎藤摂子

初めての使ひの褒美さくらんぼ       関口 ふじ

 三澤福泉・西岡みきを・角野京子・伊藤月江・山下之久

ぐうちよきで貰ふ残りのさくらんぼ     斎藤 摂子

 小澤巖・上西美枝子・瀧下しげり・松井信弘・関口ふじ

駅前に恐竜ロード街薄暑          五味 和代

 

<4点>

 住田うしほ・うすい明笛・島津康弘・日澤信行

一言を言ひまた一つさくらんぼ       星私 虎亮

 住田うしほ・谷野由紀子・大塚章子・浜野明美

さくらんぼ音符のごとく皿に撥ぬ      原田千寿子

 三澤福泉・板倉年江・大塚章子・浜野明美

子ら乗せる手押し車や新樹光        うすい明笛

 住田うしほ・西岡みきを・松井信弘・榎原洋子

全山に同じ色無き新樹かな         住田うしほ

 木村てる代・浜野明美・関口ふじ・星私虎亮

不揃ひの長き石段寺新樹          春名あけみ

 小澤巖・谷野由紀子・上西美枝子・斎藤摂子

夏燕駅の雑踏かすめ飛ぶ          渡邉 房子

 

<3点>

 田中よりこ・松美智子・金子良子

さくらんぼセーヌ河畔の料理店       うすい明笛

 うすい明笛・原田千寿子・山下之久

朝上がり雫煌めくさくらんぼ        住田うしほ

 春名あけみ・松美智子・榎原洋子

一葉添へ籠に盛られしさくらんぼ      中村 克久

 田中よりこ・五味和代・金子良子

能勢電の駅名楽し新樹光          大塚 章子

 住田うしほ・谷野由紀子・大塚章子

新樹光車椅子ごとその中へ         金子 良子

 小澤巖・田中よりこ・松井信弘

街並を優しく包む新樹かな         上西美枝子

 三澤福泉・斎藤摂子・五味和代

書を閉ぢて暫し瞑想新樹陰→新樹蔭     山下 之久

 小澤巖・木村てる代・中村克久

聖廟に楷の新樹の照り止まず        中川 晴美

 瀧下しげり・斎藤摂子・松美智子

新樹光大納言塚静もれり          田中よりこ

 角野京子・山下之久・日澤信行

青梅の臍取る夕べ祖母偲ぶ         三澤 福泉

 瀧下しげり・斎藤摂子・五味和代

タオル地のハンカチ腰に老教師       角野 京子

 春名あけみ・関口ふじ・渡邊房子

夏めくや湖中に赤き大鳥居         田中よりこ

 

<2点>

 瀧下しげり・関口ふじ

山法師の花を戸毎に奥州路         中川 晴美

 原田千寿子・星私虎亮

硝子器にこんもりと盛るさくらんぼ     大塚 章子

 三澤福泉・山下之久

桜桃を枝ごと掴む肩車           角野 京子

 瀧下しげり・木村てる代

さくらんぼ幼児の瞳美しき         春名あけみ

 島津康弘・松井信弘

さくらんぼ入れて弁当豊かなり       小澤  巖

 うすい明笛・星私虎亮

桜桃のまた回りくるバスの旅        中川 晴美

 春名あけみ・中村克久

木洩れ日や山毛欅の新樹を縫ふ道に     板倉 年江

 角野京子・木村てる代

ギヤマンは新樹の色を宿しをり       島津 康弘

 大塚章子・中村克久

霊場の小祠を巡る新樹陰          木村てる代

 原田千寿子・板倉年江

三輪山へ瑞気溢るる新樹かな        松美智子

 島津康弘・上西美枝子

川風にさらさら揺るる夜の新樹       藤田 壽穂

 角野京子・榎原洋子

水槽の目高に貰ふ活気かな         西岡みきを

 板倉年江・五味和代

天守台に往時偲べば閑古鳥         小澤  巖

 住田うしほ・金子良子

鱧つつく忘れ易きを誇りあひ        朝妻  力

 浜野明美・日澤信行

墓地参道種々の日傘も連れ立ちて      松美智子

 西岡みきを・浜野明美

世を覗くごとくたかんな土もたぐ      島津 康弘

 谷野由紀子・伊藤月江

巽橋に佇むをみな夕薄暑          松井 信弘

 松美智子・星私虎亮

桑の実や水張りそめし田の夕べ       瀧下しげり

 

<1点>

 田中よりこ

公平に分くる今夜のさくらんぼ       西岡みきを

 大塚章子

食レポを気取つてポーズさくらんぼ     渡邉 房子

 金子良子

葉裏にも鳥来たるらしさくらんぼ      榎原 洋子

 松井信弘

桜桃や羽州の旅のあの日ふと        朝妻  力

 金子良子

二人居の卓に華やぐさくらんぼ       上西美枝子

 渡邊房子

隣との垣根代りのさくらんぼ        金子 良子

 春名あけみ

雲疾き修験者の山さくらんぼ        島津 康弘

 渡邊房子

子の抱く稚児健やかや新樹陰 →新樹蔭   三澤 福泉

 星私虎亮

プリンアラモードの上にちよこんとさくらんぼ  瀧下しげり

 角野京子

さくらんぼ水に放てば鮮やかに       浜野 明美

 日澤信行

元伊勢へ誘ふ標や新樹陰          五味 和代

 島津康弘

新樹光今朝パン買ひにコンビニへ      中村 克久

 伊藤月江

風出でて千人塚に新樹の香         小澤  巖

 渡邊房子

子の部屋の窓から見ゆる新樹かな      山内 英子

 島津康弘

新樹燃ゆスローフードのカフェで待つ    関口 ふじ

 西岡みきを

新樹みな楽器となりし風の吹く       星私 虎亮

 中村克久

小止みなく雨音沁むる新樹かな       伊藤 月江

 五味和代

誘はるる新樹の下の昼ご飯         榎原 洋子

 日澤信行

新樹みな雨はね返す力あり         瀧下しげり

 谷野由紀子

子ら送る新樹の薫る夜の街路        朝妻  力

 原田千寿子

鈴蘭の香り仄かに朝の庭          藤田 壽穂

 うすい明笛

鹿の子の生れて葉陰に独り立つ       住田うしほ

 板倉年江

猫柄の傘高々と梅雨に入る         上西美枝子

 山下之久

新しき大棟渡る新樹風           木村てる代

 榎原洋子

谷若葉山の輪郭出来上がる         日澤 信行

 西岡みきを

巣の縁に止まり餌を待つ巣立前       板倉 年江

以上

 

 

<主宰選>

=特選=

二人居の卓に華やぐさくらんぼ      上西美枝子

ぐうちよきで貰ふ残りのさくらんぼ    斎藤 摂子

さくらんぼ幼児の瞳美しき        春名あけみ

誕生日の卓にケーキとさくらんぼ     藤田 壽穂

風出でて千人塚に新樹の香        小澤  巖

木洩れ日や山毛欅の新樹を縫ふ道に    板倉 年江

聖廟に楷の新樹の照り止まず       中川 晴美

川風にさらさら揺るる夜の新樹      藤田 壽穂

世を覗くごとくたかんな土もたぐ     島津 康弘

猫柄の傘高々と梅雨に入る        上西美枝子

夏めくや湖中に赤き大鳥居        田中よりこ

 

 

=入選=

食レポを気取つてポーズさくらんぼ    渡邉 房子

さくらんぼセーヌ河畔の料理店      うすい明笛

さくらんぼ含みて偲ぶ良き日かな     山下 之久

硝子器にこんもりと盛るさくらんぼ    大塚 章子

初めての使ひの褒美さくらんぼ      関口 ふじ

さくらんぼ太子が母の里の寺       木村てる代

雲疾き修験者の山さくらんぼ       島津 康弘

薬膳や小皿に二顆の桜桃         山内 英子

さくらんぼ入れて弁当豊かなり      小澤  巖

桜桃のまた回りくるバスの旅       中川 晴美

桜桃の甘きに若き日を回顧        松美智子

行儀よく並ぶ箱入りさくらんぼ      谷野由紀子

一葉添へ籠に盛られしさくらんぼ     中村 克久

三つ上の夫の誕辰さくらんぼ       伊藤 月江

子の抱く稚児健やかや新樹陰 →新樹蔭  三澤 福泉

さくらんぼ音符のごとく皿に撥ぬ     原田千寿子

さくらんぼ水に放てば鮮やかに      浜野 明美

元伊勢へ誘ふ標や新樹陰         五味 和代

中之島の雨後に輝く新樹かな       谷野由紀子

山裾の顔の高さの新樹かな        日澤 信行

街並を優しく包む新樹かな        上西美枝子

ギヤマンは新樹の色を宿しをり      島津 康弘

書を閉ぢて暫し瞑想新樹陰→新樹蔭    山下 之久

子の部屋の窓から見ゆる新樹かな     山内 英子

雨脚を際立だせたる新樹かな       浜野 明美

江戸の世のお茶屋の庭の新樹かな     原田千寿子

カリヨンの響く広場の新樹かな      松井 信弘

三輪山へ瑞気溢るる新樹かな       松美智子

新樹光大納言塚静もれり         田中よりこ

鈴蘭の香り仄かに朝の庭         藤田 壽穂

水槽の目高に貰ふ活気かな        西岡みきを

夏燕駅の雑踏かすめ飛ぶ         渡邉 房子

天守台に往時偲べば閑古鳥        小澤  巖

十字架地蔵伊奈山裾の青田風       中村 克久

蛍舞ふ頼山陽の来し庭に         原田千寿子

山法師の花を戸毎に奥州路        中川 晴美

青梅の臍取る夕べ祖母偲ぶ        三澤 福泉

タオル地のハンカチ腰に老教師      角野 京子

捥ぎたての青梅光る洗ひ桶        谷野由紀子

巽橋に佇むをみな夕薄暑         松井 信弘

パトカーに車線を譲りソーダ水      関口 ふじ

竹矢来を往き来してゐる石叩       斎藤 摂子

巣の縁に止まり餌を待つ巣立前      板倉 年江

駅前に恐竜ロード街薄暑         五味 和代

湯煙の流るる里や立葵          うすい明笛

呼び合うて番飛び立つ新樹蔭       伊藤 月江

 

 

=佳作=

公平に分くる今夜のさくらんぼ      西岡みきを

隣との垣根代りのさくらんぼ       金子 良子

一言を言ひまた一つさくらんぼ      星私 虎亮

奮発して今日誕辰のさくらんぼ      田中よりこ

さくらんぼナポレオンてふ名もありて   五味 和代

さくらんぼ摘みては口と籠に入る     板倉 年江

デパ地下で思はず買ひぬさくらんぼ    松井 信弘

プリンアラモードの上にちよこんとさくらんぼ  瀧下しげり

新樹光今朝パン買ひにコンビニへ     中村 克久

能勢電の駅名楽し新樹光         大塚 章子

新樹光車椅子ごとその中へ        金子 良子

見回して何の道行けど新樹光→どの    西岡みきを

新樹燃ゆスローフードのカフェで待つ   関口 ふじ

不揃ひの長き石段寺新樹         春名あけみ

新樹みな雨はね返す力あり        瀧下しげり

新樹蔭バギー引くママリラックス     斎藤 摂子

海鳴りや浜昼顔が埋れ咲く        春名あけみ

墓地参道種々の日傘も連れ立ちて     松美智子

五月雨や志摩半島を巡り来て       大塚 章子

谷若葉山の輪郭出来上がる        日澤 信行

桑の実や水張りそめし田の夕べ      瀧下しげり

 

 

<感想と添削>

原句 葉裏にも鳥来たるらしさくらんぼ

感想 語順を整えます

添削 さくらんぼ葉裏にも鳥ゐるらしき      榎原 洋子

 

原句 朝上がり雫煌めくさくらんぼ

感想 上五で切れて二句一章になりました。一句一章で……

添削 雨止みて雫煌めくさくらんぼ        住田うしほ

 

原句 葉も茎も艶の増し入るさくらんぼ

感想 桜桃の実を中心に詠みます。増し入る、要一考です。

添削 葉も茎も実もつややかにさくらんぼ     日澤 信行

 

原句 桜桃を枝ごと掴む肩車

感想 肩車が掴んだことになりました

添削 肩の子が枝ごと掴むさくらんぼ       角野 京子

 

原句 桜桃に映る我が顔若き色

感想 顔と色の取合せになりました。固い感じです

添削 桜桃に映る我が顔色若し          藤原 俊朗

 

原句 パンケーキ飾るひと房さくらんぼ

感想 ひと房で切れます。切らずに一句一章で……

添削 パンケーキ飾るひと三粒のさくらんぼ    三澤 福泉

 

原句 新樹陰息をゆつくり吐ひて吸ふ

感想 新樹蔭。吐ひては吐きて、又は吐いて

添削 新樹蔭息をゆつくり吐きて吸ふ       渡邉 房子

 

原句 いしぶみに青々先生新樹光

感想 言わんとする所は分かりますが中七まで意味通りません

添削 いしぶみに青々の句や新樹光        角野 京子

 

原句 子ら乗せる手押し車や新樹光

感想 文語は乗す、連体形は乗するとなります

添削 子ら乗する手押し車や新樹光        うすい明笛

 

原句 霊場の小祠を巡る新樹陰

感想 字余りです。新樹陰→新樹蔭

添削 霊場の小祠巡る新樹蔭           木村てる代

 

原句 全山に同じ色無き新樹かな

感想 中七、報告調になりました

添削 一山の色みな違ふ新樹かな         住田うしほ

 

原句 古里の友に新樹の匂いせり

感想 匂い→匂ひ 

添削 古里の友に新樹の匂ひけり         藤原 俊朗

 

原句 新樹みな楽器となりし風の吹く

感想 なり、断定が強すぎます

添削 新樹みな楽器のごとく風に鳴る       星私 虎亮

 

原句 小止みなく雨音沁むる新樹かな

感想 小止みなく……沁むる、要一考です

添削 小止みなき雨に濡れゐる新樹かな      伊藤 月江

 

原句 誘はるる新樹の下の昼ご飯

感想 表現を整えます。ご、お は極力使わずに……

添削 誘はれて新樹の下の昼餉かな        榎原 洋子

 

原句 日々三度麦飯食ぶし頃をふと

感想 惜しい。食べし ですね。

添削 日々三度麦飯食べし頃をふと        山下 之久

 

原句 鹿の子の生れて葉陰に独り立つ

感想 鹿の子だけに、独りに要一考

添削 鹿の子の生れ葉陰に立ちにけり       住田うしほ

 

原句 余花白き峠の茶屋に風抜ける

感想 抜ける→抜くる。但し連体形にて切れありません

添削 余花白き峠の茶屋を風通る         榎原 洋子

 

原句 新しき大棟渡る新樹風

感想 新樹風、歳時記には採録ありません

添削 新しき大棟に照る新樹かな         木村てる代

 

原句 友の畑土産に貰う夏大根

感想 畑で切れます。二句一章ではなく一句一章の内容です

添削 友訪うて土産に貰ふ夏大根         藤原 俊朗

 

原句 受付に枇杷の一枝生けており

感想 枇杷の枝では季語になりません。おり→をり

添削 受付に枝ごと枇杷の生けをりぬ       金子 良子

 

原句 湯の里のあぢさいの道そぞろ行く

感想 惜しい。あぢさい→あぢさゐ

添削 湯の里のあぢさゐの道そぞろ行く      山内 英子

 

原句 若葉風また吹く街の暖簾かな

感想 またが邪魔。若葉風吹きくる として「が」を省略します

添削 若葉風吹きくる街の暖簾かな        星私 虎亮

 

原句 新緑の鮮やかなりし昨夜の雨

感想 なりし、要一考です

添削 新緑の鮮やかに照る雨上がり        浜野 明美

以上

 

 

【次回兼題】

 鷺草 連鷺草

 新涼 新たに涼し・秋涼し・秋涼・涼新た

 自由題

 計3句

【選  句】 5句

【投句締切】 8月10日

【投選句先】 中川 晴美

       harumi-n@kcn.jp

【発  表】 8月15日

 

 

 

【投句方法】

※作業を円滑にするため、行間を空けずに詰めてご記入ください

※当方からの受信済みの返信メールにて、ご自分の送信したメールの行間をご確認下さい

※下記記入例を参考にメール本文に直接書き込んで下さい

 

<記入例>

A03山田太郎 選句番号と選者名を空けずに詰めてご記入下さい。三文字の方も同様。

B09山田太郎

C11山田太郎

C25山田太郎

E21山田太郎

数へ日の日ごとに詰まるスケジュール 兼題の順にご記入下さい。姓号は不要です。

読みかけの文庫伏せある炬燵かな

たらちねの恙無き日や福寿草