シリウス宇宙句会 作品集

 

  第462回 作品集

(9月15日更新)


この中より5句選句してください


A01 露草の露を宿せる青淡し
A02 露草や出勤前の薄化粧
A03 露草や夕餉の前の遊歩道
A04 新涼や顔見知りから友になり
A05 いつせいに露草朝を迎へをり
A06 朝上がり瑠璃鏤むる蛍草
A07 夕風に群露草は紺極め
A08 露草の光る宮址の朝かな
A09 父祖の地の跡形もなし蛍草
A10 露草の青が目を射る山路かな
A11 放棄田に露草の青増しにけり
A12 露草とコアラのマーチ手向けたり
A13 細口に紫にほふ蛍草
A14 うつし草和紙に染めゆく空と山
A15 大木の周りびつしり蛍草
A16 露草や周囲と同じ青暗さ
A17 病妻の手を引く土手に蛍草
A18 露草へごろんごろんと猫まろぶ
A19 小人らを隠していさう蛍草
A20 草叢に露草紛れ藍さやか
A21 草叢に雨粒宿す蛍草
A22 水影の映ゆる古木や蛍草
A23 露草や花よりほかはたくましき
A24 住み旧りて露草増ゆる庭の隅
A25 露草や訪ふ人もなき国庁址
A26 葉を這はせ風の翳なす蛍草
A27 露草や余生を過ごすこの街に
A28 其の上の遭難の墓碑蛍草
A29 叢の露草点と藍零す
A30 露草の一花に膝を折りにけり
A31 古釜に露草植うる武家屋敷
A32 露草の花生き生きとかはたれ時
A33 露草の色立つ畑や宇陀の里
A34 昨夜の雨ためて色濃き百夜草
A35 露草や始業のチャイム風に乗り
B01 摩周湖を眼下に打ちぬけらつつき
B02 啄木鳥や耳を澄ませば工事人
B03 啄木鳥のまた聞えくる遊歩道
B04 啄木鳥や森一体をよびおこし
B05 もう誰も叩かぬ魚鼓やけらつつき
B06 啄木鳥や回収箱に切符かな
B07 白樺の並木を叩くけらつつき
B08 啄木鳥の樺の林に谺せり
B09 啄木鳥の音に澄みゆく森の朝
B10 遠くでもかなり喧しけらつつき
B11 啄木鳥の小気味好き音杜深し
B12 一日を終えし安堵の秋の宵
B13 から類に交じり小げらの食餌時
B14 啄木鳥や注連の古りたる宮の杜
B15 香久山の神木つつく小げらかな
B16 啄木鳥や山のこだまの返りくる
B17 啄木鳥や締切り迫る文学賞
B18 けら叩く大和社の木霊かな
B19 葛城の木々に数多のけらの穴
B20 啄木鳥や雑事忘るる山日和
B21 啄木鳥を聴けばきくほど風の音
B22 啄木鳥の来てゐる気配札所道
B23 啄木鳥や恵信僧都の堂訪へば
B24 山寺にひねもす響くけらつつき
B25 きよろきよろと小げらの動く神の森
B26 啄木鳥の洞を数へつ林ゆく
B27 啄木鳥や角の欠けたる先祖墓
B28 けらつつき神魂の杜の静けさに
B29 山の湯やけら突きをる谺して
B30 啄木鳥の夜明けを早く音ひびく
B31 妻は右我は左やけらの音
B32 朝ぼらけ啄木鳥をきく散歩道
B33 峡宿の朝餉に聞こゆけらつつき
B34 直進も時計回りもけらつつき
B35 啄木鳥の打つ音響く奥の院
C01 手の届く草のいただき赤蜻蛉
C02 モーツアルトを聞かせ育てし梨来る
C03 新涼や梅花藻ゆるる水きよら
C04 玉砂利に日の斑まどやか蛍草
C05 そよそよと幸せな風終戦日
C06 朝露や搾りたてなる山羊の乳
C07 茶の集ひ飛泉障りの照紅葉
C08 干し物に緩き朝風はや九月
C09 朝顔の実を取る子らの笑顔かな
C10 枝豆を茹でて一人の夕餉かな
C11 擂鉢に溶く露草の青深し
C12 初紅葉橅の森へといそぎけり
C13 畏友どちを別墅に偲ぶ初月夜
C14 青鷺の獲物を狙ふ長き脚
C15 大安寺の日の斑きらめく竹の春
C16 真夜中の月の蝕ゆゑ寝坊かな
C17 烈日にきらめく海や鰯雲
C18 新涼のそよと揺らめくピアスかな
C19 花街に陶然とせる酔芙蓉
C20 被災地に残るつめ跡秋の月
C21 溶接の火花散らせし夜なべの子
C22 湯に浸り指体操をちちろ鳴く
C23 平積みの本それぞれに秋の色
C24 ありの実のコンポート煮る夕べかな
C25 滾々と砂地に出づる秋の水
C26 萩尾花添へて追悼茶会とす
C27 紀元前の銅剣確と身に入めり
C28 ちろろ鳴く大屋根リングに宵の風
C29 涼新た風に打ち合ふ絵馬の音
C30 絵手紙や残暑見舞いの聖母像
C31 池渡る風落ち着ける葉月かな
C32 赤々と晴れマーク並む秋暑かな
C33 力こそすべて一気に鱸釣る
C34 カルデラの海を越え行く流れ星
C35 立秋や妻の白髪に知らぬ顔