第459回 作品集
(6月15日更新)
この中より5句選句してください
A01 公平に分くる今夜のさくらんぼ
A02 食レポを気取つてポーズさくらんぼ
A03 さくらんぼセーヌ河畔の料理店
A04 さくらんぼ含みて偲ぶ良き日かな
A05 硝子器にこんもりと盛るさくらんぼ
A06 葉裏にも鳥来たるらしさくらんぼ
A07 初めての使ひの褒美さくらんぼ
A08 桜桃や羽州の旅のあの日ふと
A09 二人居の卓に華やぐさくらんぼ
A10 ぐうちよきで貰ふ残りのさくらんぼ
A11 さくらんぼ太子が母の里の寺
A12 朝上がり雫煌めくさくらんぼ
A13 隣との垣根代りのさくらんぼ
A14 雲疾き修験者の山さくらんぼ
A15 葉も茎も艶の増し入るさくらんぼ
A16 一言を言ひまた一つさくらんぼ
A17 奮発して今日誕辰のさくらんぼ
A18 桜桃を枝ごと掴む肩車
A19 さくらんぼナポレオンてふ名もありて
A20 薬膳や小皿に二顆の桜桃
A21 さくらんぼ幼児の瞳美しき
A22 さくらんぼ入れて弁当豊かなり
A23 桜桃のまた回りくるバスの旅
A24 桜桃に映る我が顔若き色
A25 桜桃の甘きに若き日を回顧
A26 行儀よく並ぶ箱入りさくらんぼ
A27 一葉添へ籠に盛られしさくらんぼ
A28 三つ上の夫の誕辰さくらんぼ
A29 さくらんぼ摘みては口と籠に入る
A30 子の抱く稚児健やかや新樹陰
A31 デパ地下で思はず買ひぬさくらんぼ
A32 プリンアラモードの上にちよこんとさくらんぼ
A33 さくらんぼ音符のごとく皿に撥ぬ
A34 さくらんぼ水に放てば鮮やかに
A35 誕生日の卓にケーキとさくらんぼ
B01 元伊勢へ誘ふ標や新樹陰
B02 中之島の雨後に輝く新樹かな
B03 新樹光今朝パン買ひにコンビニへ
B04 パンケーキ飾るひと房さくらんぼ
B05 風出でて千人塚に新樹の香
B06 木洩れ日や山毛欅の新樹を縫ふ道に
B07 新樹陰息をゆつくり吐ひて吸ふ
B08 能勢電の駅名楽し新樹光
B09 山裾の顔の高さの新樹かな
B10 新樹光車椅子ごとその中へ
B11 街並を優しく包む新樹かな
B12 いしぶみに青々先生新樹光
B13 ギヤマンは新樹の色を宿しをり
B14 子ら乗せる手押し車や新樹光
B15 霊場の小祠を巡る新樹陰
B16 書を閉ぢて暫し瞑想新樹陰
B17 見回して何の道行けど新樹光
B18 全山に同じ色無き新樹かな
B19 古里の友に新樹の匂いせり
B20 子の部屋の窓から見ゆる新樹かな
B21 新樹燃ゆスローフードのカフェで待つ
B22 新樹みな楽器となりし風の吹く
B23 雨脚を際立だせたる新樹かな
B24 小止みなく雨音沁むる新樹かな
B25 不揃ひの長き石段寺新樹
B26 誘はるる新樹の下の昼ご飯
B27 新樹みな雨はね返す力あり
B28 新樹蔭バギー引くママリラックス
B29 江戸の世のお茶屋の庭の新樹かな
B30 カリヨンの響く広場の新樹かな
B31 三輪山へ瑞気溢るる新樹かな
B32 聖廟に楷の新樹の照り止まず
B33 新樹光大納言塚静もれり
B34 子ら送る新樹の薫る夜の街路
B35 川風にさらさら揺るる夜の新樹
C01 鈴蘭の香り仄かに朝の庭
C02 水槽の目高に貰ふ活気かな
C03 日々三度麦飯食ぶし頃をふと
C04 夏燕駅の雑踏かすめ飛ぶ
C05 海鳴りや浜昼顔が埋れ咲く
C06 天守台に往時偲べば閑古鳥
C07 十字架地蔵伊奈山裾の青田風
C08 鱧つつく忘れ易きを誇りあひ
C09 墓地参道種々の日傘も連れ立ちて
C10 世を覗くごとくたかんな土もたぐ
C11 五月雨や志摩半島を巡り来て
C12 蛍舞ふ頼山陽の来し庭に
C13 山法師の花を戸毎に奥州路
C14 青梅の臍取る夕べ祖母偲ぶ
C15 鹿の子の生れて葉陰に独り立つ
C16 余花白き峠の茶屋に風抜ける
C17 タオル地のハンカチ腰に老教師
C18 捥ぎたての青梅光る洗ひ桶
C19 巽橋に佇むをみな夕薄暑
C20 パトカーに車線を譲りソーダ水
C21 猫柄の傘高々と梅雨に入る
C22 新しき大棟渡る新樹風
C23 谷若葉山の輪郭出来上がる
C24 竹矢来を往き来してゐる石叩
C25 巣の縁に止まり餌を待つ巣立前
C26 桑の実や水張りそめし田の夕べ
C27 駅前に恐竜ロード街薄暑
C28 湯煙の流るる里や立葵
C29 友の畑土産に貰う夏大根
C30 呼び合うて番飛び立つ新樹蔭
C31 受付に枇杷の一枝生けており
C32 夏めくや湖中に赤き大鳥居
C33 湯の里のあぢさいの道そぞろ行く
C34 若葉風また吹く街の暖簾かな
C35 新緑の鮮やかなりし昨夜の雨