シリウス宇宙句会 作品集

 

  第445回 作品集

(4月15日更新)


この中より5句選句してください


A01 中海の旭光の中燕来る
A02 谷渡る高架ねぐらに燕舞ふ
A03 美容院出でて見上ぐる軒つばめ
A04 燕来る町の小さき自転車屋
A05 リニューアルオープン店に飛燕かな
A06 天平の梁に藁しべ燕来る
A07 つばくろの口舌かしまし廓町
A08 つばくらめみんな巣立つや和紙の里
A09 濁流をすれすれに飛ぶ燕かな
A10 こまやかに声交しつつ燕来る
A11 西郷像掠め燕の宙返り
A12 ビル街を夫婦のやうなつばくらめ
A13 川風や燕抜けゆく蔵通り
A14 燕来る古民家に聴くビオラかな
A15 泥くはへ補修勤しむ燕かな
A16 川筋を燕飛び交ふ出湯かな
A17 燕来る見上げて行くや歩道橋
A18 取分けて何も無き町燕来る
A19 軒先を出入りしきりに燕かな
A20 街灯の奥に薄雲夕燕
A21 ガード下に出入り激しき燕かな
A22 上ル下ルのしるべ掠むるつばくらめ
A23 こぞの巣に新たな口やつばくらめ
A24 今年又道を忘れず軒燕
A25 燕や都電早稲田は折り返し
A26 曾孫来る嬉しき日なり初燕
A27 つばくらめカレーの匂うふ生活路
A28 道の駅の庇飛び交ふ燕かな
A29 澄みわたる湖に一閃初燕
A30 雨晴れをはつらつと飛ぶつばくらめ
A31 燕来る大家の並ぶ旧街道
A32 つばくらめ昔ながらの商店街
A33 初燕すいーと過り軒に消ゆ
A34 播磨灘見ゆる駅舎や燕飛ぶ
A35 商店街あげて迎ふるつばくらめ
A36 燕飛ぶ湖面に己が影捨てて
B01 麦青む山河やさしき我が故郷
B02 増設の友の工場麦青む
B03 太文字の鍛冶屋の看板麦青む
B04 元気良き子らの挨拶麦青む
B05 青麦の畑近づく島日和
B06 青麦に沿いて子ら行く通学路
B07 信楽の風に任せて麦青む
B08 青麦の小風に吹かれペダル漕ぐ
B09 ラッピング列車にコナン麦青む
B10 きらめきてるると畔川麦青む
B11 麦青む車窓に迫る八ヶ岳
B12 青麦やなゐ跡の地に人住めり
B13 垂直に青麦五本活けにけり
B14 青麦の畑光りゐる湖岸かな
B15 青麦を見れば戦後の父母のこと
B16 麦青む白衣のままに小買物
B17 朝日子やただまつすぐに麦青む
B18 青麦を抜けて若狭の島めぐり
B19 麦青む風に応へるほどの丈
B20 青麦や富良野の道は天へ伸ぶ
B21 青麦の風をうなじにカフェテラス
B22 其のかみは巨椋池とや麦青む
B23 麦青む初孫がはや大学に
B24 青麦やローカル線でふる里へ
B25 青麦の湖風になびく野洲郡
B26 青麦や野に移りくる雲の影
B27 青麦の禾の痛さにかくれんぼ
B28 青麦や地平は延ぶる茫漠へ
B29 自転車で登校の子ら麦青む
B30 青麦や裾長くひく近江富士
B31 丘陵の広さのままに麦青む
B32 青麦や空の深さを知り尽し
B33 青麦の向かう園児の列が過ぐ
B34 二時間に一本のバス麦青む
B35 山の辺の道てくてくと麦青し
B36 風を受け波打ち揺るぐ麦青む
C01 堰堤に崩れまた生る花筏
C02 菜の花の果に暮れゆく海女の墓
C03 夏近し池心に揺らぐ水の青
C04 カタカナの川を縁取る春の草
C05 籾おろす五風十雨を恃みつつ
C06 白鷺城の狭間より覗く桜かな
C07 花粉症愉快な上司のみかかり
C08 花を惜しむ早来年の予定立て
C09 入学式校歌の響く時計塔
C10 花の雨入る余地なき駐車場
C11 木瓜盛る六波羅蜜寺朝の雨
C12 留守がちの隣の家の紫木蓮
C13 思ひ出の入浴剤入れ春惜しむ
C14 道沿ひに帯となしたる落花かな
C15 朝桜子らの真白のユニフォーム
C16 好奇心旺盛に向く春帽子
C17 六甲の山白し花苗を買ふ
C18 天守址を降りて御苑の青き踏む
C19 一枚の花びら残す車椅子
C20 紅白の点描浮かぶ山桜
C21 花守は少年のごと語りけり
C22 御香水を享くる御仏艶ませり
C23 石垣のそり美しき桜時
C24 窓の外中野通りの花の雲
C25 花冷えや時代劇減る撮影所
C26 花万朶千鳥ヶ淵の二人舟
C27 AIが選句委員や万愚節
C28 静けさや酒船石に竹落葉
C29 芹くるる人にレシピを尋ねをり
C30 選句終ふ句会のあはひ桜餅
C31 草餅の甘さ加減は母の味
C32 浜一面余さず和布干しにけり
C33 水分の起点の石や土佐水木
C34 母逝きてはや十五年花の雨
C35 春愁や絆は父のまむし指
C36 逡巡を繰り返しつつ春深む