誌上句会


第379回  披講 得点作品

 

  ※投句は新作未発表作品に限ります

 

 30点
 中川 晴美・板倉 年江・伊藤 月江・今村美智子・岡山 裕美・田中まさ惠・田中よりこ・谷野由紀子
 福長 まり・堀いちろう・横田  恵・乾  厚子・北田 啓子・髙木 哲也・田中 幸子・佐々木慶子
 行竹 公子・長岡 静子・中尾 光子・寺岡 青甫・越智千代子

寒柝の一打に闇の引き締まる      吉村 征子

 21点
 上西美枝子・大塚 章子・木村てる代・冨安トシ子・遠藤  玲・金子 良子・斎藤 摂子・長尾眞知子
 水谷 道子・片上 節子・田中せつ子

一世紀生きたる母の初鏡        田中 幸子

 12点
 小林伊久子・三澤 福泉・宮永 順子・大野 照幸・柏原 康夫・新倉 眞理

ペンキ絵の富士の裾野の初湯かな    三代川次郎

 田中 愛子・平井 紀夫・加納 聡子・星私 虎亮・宇利 和代

良きことを探すつもりの日記買ふ    野村よし子

 7 点
 隠田恵美子・高橋 佳子

冬銀河余生に小さき夢ひとつ      冨士原康子

 6 点
 中谷恵美子・渡邉眞知子・関口 ふじ・宮田かず子

寒禽の尖る一声神の苑         乾  厚子

 酒井多加子・川口 恭子・武田 風雲

数へ日の午後を静けき写経堂      藤田 壽穂

 藤田 壽穂・三代川次郎・小薮 艶子

刀傷残る堂宇や大根焚         松本すみえ

 太田美代子・糟谷 倫子

りんご手に若手が語る農と食      小薮 艶子

 5 点
 島津 康弘・松本 葉子・大澤 朝子・村川美智子

野の神のひそひそ話小雪舞ふ      伊津野 均

 井村 啓子・志々見久美・野田 千恵・穂積 鈴女

手の平で味はふ器年惜しむ       松本 葉子

 小澤  巖・谷口智恵己・村井 安子・青木 豊江

盗み酒したる厨の寒さかな       渡部 芋丸

 角野 京子・住田うしほ・窪田 季男

団楽の余韻を残し榾火落つ       北田 啓子

 五味 和代・野村よし子

これしきのことに躓く年の暮      香椎みつゑ

 浅川 悦子・岩崎 俊郎

住み旧りて反故を焚きたる年の暮    原田千寿子

 うすい明笛・吉井 陽子

炉話や鉄瓶の湯気ほのぼのと      中川 晴美

寒林に入り寒林の鼓動聴く       隠田恵美子

 4 点
 溝田 又男・山﨑 尚子・野村 絢子・井手 公子

水涸るるダム湖の底の縞模様      杉浦 正夫

 杉浦 正夫・竹村とく子・浜野 明美

寒紅の人の一言座を締むる       伊藤たいら

 杉村 好子・野添 優子・中野 尚志

引く波に風が手を藉す秋の浜      寺岡 青甫

 山内 英子

来ぬ客に二人で余す節料理       山下 之久

 渡邊 房子

只今の声も寒さう子が帰る       窪田 季男

 松本すみえ

園庭に並べ干さるる子の布団      櫻井眞砂子

 河原 まき

菰巻の松の影並む太子道        中尾 謙三

 杉江 茂義

語り合ひ昭和の歌を聞く夜長      三澤 福泉

 3 点
 原田千寿子・川尻 節子・平橋 道子

冬銀河第九に籠もる神の愛       平井 紀夫

 宇野 晴美・人見 洋子

ふれあふや葉牡丹市の賑はひに     行竹 公子

 岡田 寛子・中尾 礼子

年の瀬や猫ゆつたりと道よぎる     西岡みきを

 小山 禎子・瀧下しげり

日向ぼこ歳時記ひざに鼻眼鏡      吉沢ふう子

 浅川加代子・山下 之久

まためくる余生の頁去年今年      今村 雅史

 櫻井眞砂子・福島 秀行

初氷早や石礫うけしあと        宇利 和代

 瀧本 和子・松本 英乃

冬座敷則天去私の軸凜と        小山 禎子

 川村 和美

夫婦して卒寿迎へて家の春       藤原 俊朗

 奥本 七朗

冬の瀬戸面舵いつぱい波を切る     髙橋美智子

 伊津野 均

石槨の静かな呼吸木の実落つ      越智千代子

 越智 勝利

赤子抱き上ぐ乙亥相撲の力士      長岡 静子

 布谷 仁美 

裸木とて威風堂堂御神木        鎌田 利弘

 播广 義春

大年の経に鎮もる大仏殿        中谷恵美子

 香椎みつゑ

御仏の膝に冬蝶眠りけり        岡田 寛子

同期生また去ぬとかや年暮るる     うすい明笛

 2 点
 妹尾ひとみ・竹中 敏子

伝説の池のしじまに鴨の声       深川 隆正

 髙橋 保博・コダマヒデキ

六畳の一間我が城去年今年       米田 幸子

 春名あけみ・土屋 順子

籠もりゐて咳き込むごとに一句逃ぐ   新倉 眞理

 瀬崎こまち・鎌田 利弘

囂しき木の葉隠れの寒雀        野添 優子

 髙松眞知子

水仙のつんと気高く香りたる      浜野 明美

 榎原 洋子

病癒へ根深のかほる朝餉かな      村川美智子

 藤原 俊朗

散策と言ふ名の思索十二月       加納 聡子

 中尾 謙三

数へ日や一つ片せばまた一つ      福長 まり

 竹内美登里

冬晴や供花新しき行基像        上和田玲子

 大木雄二郎

薪割りのリズムの良さや冬ぬくし    杉村 好子

 奥野 雅應

雪吊の縄目を揺らす雀どち       春名あけみ

 松井 春雄

頂に動かぬ雲や山眠る         竹内美登里

 倉瀬 瑛子

今くぐらむ鉄路をまたぐ冬の虹     福島 秀行

 藤原 靖子

心身に生を思へる柚子湯かな      浅川 悦子

 船木小夜美

新暦貰ひてさがす句友の名       田中よりこ

 西岡みきを

手を合わせ氷柱見上ぐる那智の滝    清水 勝年

 上枝  桂

鸛鶴を護る村過ぐ冬ぬくし       榎原 洋子

真夜中の無言電話や十二月       星私 虎亮
寒林の光散らして入日かな       中野 尚志
柚子風呂にあれこれ思ひほっこりと   竹中 敏子
日向ぼこ令和に生れし子も二人     渡邉眞知子
六甲を越へて居座る時雨雲       木村てる代
リサイクルショップ混み合ふ年の暮   児島 昌子
風花や托鉢僧の経流る         柏原 康夫
冬深し矢穴あらはに思案石       浅川加代子

 1 点
 三原 満江

回文の日のおかしみや明日冬至     阿山 順子

 髙橋美智子

碇冴ゆ木に石結ぶ遣唐船        播广 義春

 中村 克久

独り寝の閨に聞き入る小夜時雨     三原 満江

 渡部 芋丸

鳥渡る一羽遅れてついてゆく      髙橋 保博

 深川 隆正

木箱入りの今治タオル冬ぬくし     上西美枝子

 米田 幸子

大江戸に義士討入の日の太鼓      小林伊久子

 原  茂美

街路樹にくひぜの増ゆる寒さかな    吉井 陽子

 山本 創一

木々の影ゆらぐ座敷や冬雀       青木 豊江

 中田美智子

煤逃の弁解しどろもどろかな      越智 勝利

 今村 雅史

懐手に妻の遺影に侍りをり       島津 康弘

 冨士原康子

永代供養終へて迎ふる年新た      瀬崎こまち

 井上 妙子

芝居はね師走の京をもとほれり     松井 春雄

 河井 浩志

踏まれても枯葉風待つ朝ぼらけ     上枝  桂

 光本 弥観

冬の灯に角瓶透かし振りにけり     中村 克久

 長浜 保夫

何か善きこと為したかや年の暮れ    住田うしほ

ジャンボくじ第四ビルで二百枚     井上 妙子
茫漠は過日に流る大晦日        河井 浩志
鉄色に空の暮ゆく十二月        大木雄二郎
手作りのチワワの帽子冬ぬくし     堀いちろう
風垣や駅の北口様変る         酒井多加子
冬ぬくし大型犬のドッグラン      川尻 節子
列柱の影濃き旧址月氷る        今村美智子
硝子戸に首窄め見る霙かな       伊藤 月江
年忘宴の歓に老い忘る         溝田 又男
診察日俳句体操暦果つ         宮永 順子
新暦赤ペンで書く通院日        山内 英子
久々に子供戻りぬ薬喰         杉江 茂義
日脚伸ぶダンススタジオ総鏡      田中 愛子
山茶花の花色いくつ垣あかり      五味 和代
今年又へしこ届きて寒造        中尾 礼子
木枯や白波尖る明石の門        冨安トシ子