誌上句会


第394回  披講 得点作品

 

  ※投句は新作未発表作品に限ります


 

 15点
 河原 まき・木村てる代・島津 康弘・田中 愛子・田中 幸子・原田千寿子・三澤 福泉・小薮 艶子・溝田 又男
 行竹 公子・長岡 静子・片上 節子・長浜 保夫

ひと鍬づつ日を含ませて春田打     中尾 光子


 12点
 浅川加代子・酒井多加子・小林伊久子・田中よりこ・北田 啓子・浜野 明美・山下 之久・竹中 敏子

深吉野の風も光も春の色        中谷恵美子


 9 点

春灯を献じ一言主拝す         藤田 壽穂


 8 点
 うすい明笛・谷野由紀子・深川 隆正・三代川次郎・吉井 陽子・上和田玲子・中尾 礼子

売られゆく牛に降り継ぐ桜蕊      伊藤たいら

 瀧下しげり・五味 和代・青木 豊江・平橋 道子・片上 信子・寺岡 青甫

須磨琴に平家の悲哀花の雨       寿栄松富美

奈良盆地視野ある限り春かすみ     中田美智子
生きものの乳いとほしや菠薐草     野村 絢子


 7 点
 杉浦 正夫・中川 晴美・吉村 征子・堀いちろう・関口 ふじ

持ちきれぬ夢を両手に入学す      船木小夜美

日面に猫屯する明日の春        西岡みきを


 6 点
 板倉 年江・松井 春雄・髙松美智子・西山 厚生・髙橋 保博・髙松眞知子

此の岸を離れゆく母春の雪       香椎みつゑ

 光本 弥観・奥本 七朗・窪田 季男・野村 絢子・中野 尚志

花冷や川面に滲むビル明かり      松井 春雄

 原  茂美・藤田 壽穂・上西美枝子・浅川 悦子・金子 良子

子にはこの町がふる里初つばめ     宇利 和代

 髙橋 佳子・松本すみえ

丹波路の空押し上げて山笑ふ      酒井多加子


 5 点
 武田 風雲・中尾 謙三・宮永 順子・佐々木慶子・林  雅彦

春泥を蹴散らし遊ぶ子牛かな      深川 隆正

 香椎みつゑ・船木小夜美・乾  厚子・渡邊 房子

耕しを終へし田へ刺す魔除け札     伊津野 均

 井村 啓子・西岡みきを

亡き妻の雛を飾れり娘らと       髙橋 保博

風強き日も見上ぐれば春の月      渡邊 房子


 4 点
 櫻井眞砂子・岡田 寛子・越智千代子・竹内美登里

さへづりのやうな異国語バスうらら   長岡 静子

 鎌田 利弘・中田美智子・山内 英子・児島 昌子

からからと数多なる絵馬春を待つ    宮田かず子

 播广 義春・榎原 洋子・コダマヒデキ

落椿拾ふ背中にまた一輪        片上 信子

 吉沢ふう子・中尾 光子・佐々木一夫

制服のどこか馴染まぬ四月かな     田中まさ惠

 渡邉眞知子・斎藤 摂子・髙木 哲也

袋掛腰にひばりの曲流し        今村 雅史

 角野 京子・冨安トシ子

厨子裏に石の軌条や彼岸西風      今村美智子

 大澤 朝子・人見 洋子

ぼってりと傘に手応え春の雪      住田うしほ

 川口 恭子

木の根張る森の静寂に穀雨かな     小薮 艶子

次々と寄る淋代の春の波        星私 虎亮
麦秋のバスやホスピスまでの径     岡田 寛子


 3 点
 今村美智子・糟谷 倫子・渡部 芋丸

善人のかほして帰るお水取       野添 優子

 新倉 眞理・宮田かず子

青空を三角形に鳥帰る         中尾 礼子

 野添 優子・松本 英乃

味噌添へるのみのもてなし野蒜五個   佐々木一夫

 宇野 晴美・井上 妙子

スカートの丈で風切る春休み      志々見久美

 田中まさ惠・穂積 鈴女

雉鳩の寄り添ふ枝の芽吹かな      瀧下しげり

 福原 正司・森田 明男

春の夜や夫の遺愛の竜頭巻く      青木 豊江

 福長 まり・河井 浩志

友と呼ぶ五十年あり長春花       小見 千穂

 星私 虎亮・志々見久美

つばくらめ一枚張りの空の色      吉沢ふう子

 田中せつ子

円空仏の伏し目がちなる朧の夜     小林伊久子

街角の玻璃に映せる花衣        上西美枝子
白黒の羽根大鷲の飛び去れり      人見 洋子
鄙振りの牡丹餅作るお中日       松本すみえ
得度式の案内掲ぐる寺の春       金子 良子
つちふるや水平線のおぼつかな     斎藤 摂子
良きことが降り注ぐかとミモザ咲く   川尻 節子
丸き海眺むるカフェの春日差      松本 葉子


 2 点
 冨士原康子・米田 幸子

朧なる瀬戸の小島や鳶の笛       瀬崎こまち

 伊津野 均・野村よし子

鳥帰る我が終焉は異郷の地       うすい明笛

 大塚 章子・山﨑 尚子

足裏に膨らむ土や木の芽風       北田 啓子

 中谷恵美子・竹村とく子

張り上げて歌ふ校歌やたんぽぽ黄    原  茂美

 松本 葉子

梅咲いてやうやく山の目覚めけり    新倉 眞理

 瀬崎こまち

桜散る異国の人のヒジャブにも     山内 英子

 横田  恵

潮風に隠岐の若駒ひびきあふ      遠藤  玲

 髙橋美智子

生家訪へばこぼれむばかりの雪柳    山﨑 尚子

 土屋 順子

乗り越えて気持ちも新た芝青む     佐々木慶子

昇段を祝ふ酒宴や雪解風        光本 弥観
白花へ日を集めたる松雪草       福原 正司
大谷のホームラン一号春夜       太田美代子
駆けてくる下校の子らや春の雪     上和田玲子
蓋取れば山椒一枝香り立つ       髙橋美智子


 1 点
 小山 禎子

おもむろに木箱を開けて雛に会ふ    原田千寿子

 木原 圭子

建仁寺逸れ六道の昼おぼろ       宇野 晴美

 川尻 節子

花冷えや死と隣合ふカザの民      冨士原康子

 近藤登美子

お揃ひのスーツ見つくる入社式     関口 ふじ

 岡山 裕美

一人静二人静も熊野道         寺岡 青甫

 中村 克久

風船を見上げる吾子の目は丸く     山本 創一

 村川美智子

春の日にタランテラ弾く乙女かな    片上 節子

 大木雄二郎

パーマネントかけて傘寿や花の昼    岡山 裕美

 遠藤  玲

懐石の締めは菜飯の薄緑        三原 満江

 越智 勝利

春浅し子規の三畳夫と訪ふ       布谷 仁美

 小見 千穂

とり合えず炬燵麻雀三人で       井上 妙子

 三原 満江

鳥雲に考に流浪の昔あり        田中 愛子

 野田 千惠

孕鹿も側に歩ける奈良暮し       谷野由紀子

 水谷 道子

遊学子を送る空港風光る        溝田 又男

 山口 直人

春雪をまとふ裸婦像眩しけり      中村 克久

 春名あけみ

桂川の樋門の遺構竹の秋        穂積 鈴女

 山本 創一

誕辰を祝ひ集まる春炬燵        宮永 順子

ほうき乗る魔女がくるよな瀧の夜    村川美智子
僻村の一夜を寂と春灯         竹村とく子
寧日の日差しにものの芽を探す     横田  恵
たゆたひて確と踏ん張る花筏      吉村 征子
湖あまた巡り信濃の春惜しむ      中川 晴美
山寺の下りは小股の遍路かな      榎原 洋子
あをぞらに飛行機雲や辛夷開く     櫻井眞砂子
金網を巻かれし木々の余寒かな     土屋 順子
木木芽組む雨余をしき鳴く雀かな    田中せつ子
ドクターの回診窓のヒヤシンス     松本 英乃
菩提寺の山門照らす良夜かな      水谷 道子
春の虹混じり気の無い少女の句     越智 勝利
校歌高らか三月の甲子園        冨安トシ子
跳ね返る光よ波よ磯遊         野村よし子
はらからの佳き声届く春の宵      福長 まり
沈丁の咲く頃合ひの回り道       島津 康弘
春灯の駅に人待っ男傘         川口 恭子