誌上句会


第395回  披講 得点作品

 

  ※投句は新作未発表作品に限ります


  21点
 岡山 裕美・川口 恭子・小林伊久子・春名あけみ・関口 ふじ・瀬崎こまち・渡部 芋丸・榎原 洋子
 竹内美登里・松本 英乃・高松眞知子・竹中 敏子・布谷 仁美

転がして洗ふ木桶や春日和       深川 隆正


 12点
 中川 晴美・上西美枝子・越智 勝利・糟谷 倫子・高橋 佳子・青木 豊江

てふてふを追うて三歳てふになる    田中まさ惠


 11点
 櫻井眞砂子・田中まさ惠・冨士原康子・三澤 福泉・宇利 和代・村川美智子

樹齢みな百余の杜の若葉光       伊藤たいら


 10点
 小澤  巖・田中 幸子・西岡みきを・髙木 哲也・田中せつ子

躓きも迷ひも処々に蜷の道       窪田 季男


 9点
 小山 禎子・窪田 季男・穂積 鈴女・井上 妙子

膝に抱きしばし手を止む雛納      香椎みつゑ

 浅川 悦子・野添 優子・川尻 節子・越智千代子

畑打や日良し風良し機嫌良し      瀧下しげり

 伊津野 均・宮永 順子・金子 良子

回覧を届け目高を貰ひけり       原  茂美


 7 点
 うすい明笛・福長 まり・北田 啓子・松本すみえ・野村 絢子・平橋 道子

落城も廃城も秘め山滴る        浅川加代子

 浅川加代子・播广 義春・松本 葉子・山﨑 尚子

こでまりの向き定まらぬ卒哭忌     糟谷 倫子

 杉浦 正夫・大塚 章子・岡田 寛子・野村よし子

眠る子の指の間に花の屑        五味 和代

 竹村とく子・中田美智子・行竹 公子

鳥は鳴き光れる句碑に花吹雪      野村よし子


 6 点
 児島 昌子・佐々木慶子・上和田玲子・中尾 光子

モノクロの記念写真や昭和の日     田中よりこ

 原  茂美・冨安トシ子・堀いちろう・コダマヒデキ

やはらかき船場言葉や花の雨      小林伊久子

 遠藤  玲・土屋 順子・渡邊 房子・中野 尚志

恙がなく五風十雨や種を蒔く      中尾 光子

 田中よりこ・原田千寿子

浮かび建つ大屋根リング春の月     杉浦 正夫

 三原 満江

夏霧の中に豊けき揚子江        髙木 哲也


 5 点
 井村 啓子・住田うしほ・大木雄二郎

特攻の基地に霧島躑躅燃ゆ       うすい明笛

 香椎みつゑ・中村 克久

桜蘂降りつぐ辻に塞の神        横田  恵

 木村てる代・福原 正司

畔塗つて石見の棚田輝かす       小澤  巌


 4 点
 髙松美智子・志々見久美・木原 圭子

笙の音や古今伝授之間の長閑      原田千寿子

 板倉 年江・谷野由紀子・中谷恵美子

大きめの制服の子ら入学す       吉井 陽子

 今村美智子・横田  恵・五味 和代

パパの背にキティのリュックうららけし 上西美枝子

 武田 風雲・溝田 又男・中尾 礼子

風光るよちよち幼追ふカメラ      児島 昌子

 光本 弥観・長浜 保夫

行く春の蔵だけ残る呉服店       井村 啓子

たんぽぽの絮の欠けゆく風よき日    川口 恭子


 3 点
 瀧下しげり・河井 浩志・林  雅彦

客を得て気負う遅日の人力車      浜野 明美

 松井 春雄・吉井 陽子

老鶯や写経道場寂として        平橋 道子

 山口 直人・人見 洋子

時に目を休めて臨む新樹かな      船木小夜美

 島津 康弘

緑さす木椅子になごむ文庫本      青木 豊江

 長岡 静子

水曲がるそこに風あり花筏       松本 英乃

 吉村 征子

北前船に栄えし浦やつばくらめ     冨安トシ子

 新倉 眞理

落花して江戸小紋めく遊歩道      松本すみえ


 2 点
 森田 明男・野田 千惠

鳥曇遺影の父の齢越ゆ         渡部 芋丸

 角野 京子・中尾 謙三

春園のお手する山羊に子ら寄り来    櫻井眞砂子

 河原 まき・水谷 道子

百千鳥軽装のまま森へ入る       中野 尚志

 渡邉眞知子・山内 英子

皴一つなき制服や朝桜         三代川次郎

 浜野 明美

峠越ゆさくら浄土の満願寺       寺岡 青甫

 酒井多加子

久々に吉野を訪うて春惜しむ      松井 春雄

 奥本 七朗

休耕田蠢くものの明日の夢       髙橋美智子

 三代川次郎

いやいやと言ひ張る二歳春ぼうし    片上 節子

 髙橋美智子

コンサートはねて出づれば花月夜    髙橋 佳子

 太田美代子

白蓮やかそけく残る昼の月       宇野 晴美

 片上 信子

風ふけば心せかるる花の頃       村川美智子

 大澤 朝子

餞別は笑顔と決めて花の雲       鎌田 利弘

東風吹けば木々の挙りて輝けリ     島津 康弘
夏立つや子らの輪唱たからかに     中川 晴美
休耕の棚田彩る紫雲英かな       髙松美智子
手幅程の清き流れに芹を摘む      三原 満江
青不動の膝下に淡く春灯        藤田 壽穂
びしよ濡れの猫駆け戻る春の雷     松本 葉子
直会の玻璃を彩へる花吹雪       酒井多加子


 1 点
 近藤登美子

芍薬の花芽艶やか日は西に       高松眞知子

 深川 隆正

乗り遅るバスを見送る遅日かな     長岡 静子

 片上 節子

田螺売りたずきにしたる日や遥か    西山 厚生

 小薮 艶子

春といふかろやかなるものやうやく来  山﨑 尚子

 吉沢ふう子

夕照に花影潤める吉野山        福長 まり

 米田 幸子

今生の見納めかとも花の城       上和田玲子

 船木小夜美

夫と見し桜もいよよ古木なる      中尾 礼子

 山本 創一

春うらら子の柔き肩たたき       榎原 洋子

 宇野 晴美

春障子日当たるとこを破りたる     星私 虎亮

 鎌田 利弘

己影を水に映せり水芭蕉        冨士原康子

 宮田かず子

真つ新な句集開くやチューリップ    福原 正司

 寺岡 青甫

緑蔭や日の斑がゆるる千鳥破風     乾  厚子

 髙橋 保博

春日和選りてはらから集ふなり     宮田かず子

 斎藤 摂子

背凭れに身を預けゐる目借り時     宮永 順子

 西山 厚生

カステラの紙ゆつくりと春惜しむ    春名あけみ

 佐々木一夫

縋るもの高きにもとめ藤咲ける     宇利 和代

 乾  厚子

開帳の堂の柱に豆大師         伊津野 均

鳥帰る見送る吾を気に止めず      吉村 征子
太陽の昇る明るさ春の風        近藤登美子
しやぼんだま爆ぜてもめごと治まりぬ  吉沢ふう子
菜の花や隣合せに七つ星        岡山 裕美
人生の収穫期なり花の満つ       大塚 章子
参拝の杖の鈴音夏木立         竹村とく子
風光る三分間の舟の旅         田中せつ子
公園の夏の日ざしの中に居る      髙橋 保博
城跡や土塁の影に射干の花       小薮 艶子
春雨やいよよ艶めく句碑の庭      中谷恵美子
白藤や色の波長を撥ね付くす      野添 優子
地震から九年の庭に菫群る       小山 禎子
車窓から代田の雲と競ひけり      大木雄二郎
自然界に合掌しつつ春の風       野田 千惠
花疲覚むる車窓に街明り        北田 啓子
花冷や渋滞に遭ふ行き帰り       武田 風雲
小さき鐘群れ鳴るごとく馬酔木咲く   住田うしほ
薔薇の芽やゆつくり育つ恋心      岡田 寛子
行基詣木の芽吹き出す斑かな      奥本 七朗
巣燕や庄屋の蔵の虫籠窓        田中 愛子
またあしたと言ひ交わす声春の暮    寿栄松富美
歳時記を一旦閉じて花見酒       越智 勝利