先師の一句


俳人協会刊 自註現代俳句シリーズ 
「皆川盤水集」より転載



うづきなみ はくじ        くだ

卯月波白磁のごとく砕けたり

皆川盤水

 

昭和四七年作

安房鴨川の野島岬燈台での句。鈴木真砂女さんの代表作「あるときは舟より高き卯波かな」の句が思い出された。


 

皆川盤水(みながわばんすい)紹介

大正七年十月二十五日、福島県いわき市に生れ、十五歳で兄二楼氏より俳句を学ぶ。戦後「かびれ」に所属、昭和三十三年「風」に同人参加。昭和四十一年「春光」(現「春耕」)創刊主宰。平成六年、句集『寒靄』で第三十三回俳人協会賞受賞。平成二十年五月「春耕」主宰を棚山波朗現主宰に譲り名誉主宰に就任。俳人協会顧問。平成二十二年八月二十九日逝去。俳誌「雲の峰」の題簽は代表作〈月山に速力のある雲の峰 盤水〉による。 

俳人協会刊「自註現代俳句シリーズ」は昭和五十一年「細見綾子集」を嚆矢とする自註シリーズで現在も継続中。「皆川盤水集」は三期三十二巻で昭和五六年六月に刊行された。