誌上句会

第396回  作品集

(7月1日 更新)

※会員専用です※

・投句される方は必ず選句してください。
・投句は未発表作品に限ります。
・特選、入選を各一句選び、本誌・巻末の用紙又はメールにて送付して下さい。

A01 鍬の泥落とし芒種の川汚す
A02 鳥に明け喜雨に暮れゆく峡日和
A03 珊瑚礁海に戻れり沖縄忌
A04 山々を映し鎮もる代田かな
A05 水落ちてみなわ女滝へ行き着きぬ
A06 初鳴きは控へ目真夜の時鳥
A07 舞台跳ね白シャツ眩し浪速の夜
A08 山躑躅いろの膨らむ盛りかな
A09 稜線へ山毛欅の新緑峰走り
A10 登り来て五重塔へ新樹光
A11 山笑う瓶ヶ森の緑溢る
A12 色溢るる銘仙展や夏初め
A13 バーディーを決めて吸いゐる若葉風
A14 川奏で島影疾き五月かな
A15 宮跡に佇み仰ぐ月涼し
A16 一日の終はりに注ぐ冷酒の音
A17 橋上に駅ある武庫の行々子
A18 林道に居眠りの猿若葉風
A19 茅花流し遅速取り混ぜきけり
A20 ふるさとのまぶしき空や夏来る
A21 冠羽立て青鷺堀の魚見つむ
A22 ストローで麦茶のむ吞む嬰幼児めく
A23 竹秋や小雨の中を但馬路へ
A24 列車いま国境過ぎぬ麦の秋
A25 厨の灯消して足裏の露湿り
A26 若ぶらず年寄りぶらず春の服
A27 鱧食うて身の衰へにあらがはず
A28 万緑の風に靡ける産着かな
A29 花しょうぶ水面に彩の影染めし
A30 人集ふ頭上注意や燕の子
B01 赤き屋根のレストハウスや夏霞
B02 文庫本束ねては出す梅雨入前
B03 雛罌粟や妊婦小さくわらべ歌
B04 春楡の片蔭濃きや武庫河原
B05 子燕の糞や見守る若夫婦
B06 垂仁陵花たちばなの香の満ちて
B07 支柱へと日毎黄の増す瓜の花
B08 葉桜や釣堀の魚眠たげに
B09 列柱に往古を偲ぶ薄暑かな
B10 車椅子を連ねて見上ぐ鯉のぼり
B11 孫からの旅行みやげや風青し
B12 聖五月レトロな店のティーカップ
B13 夏来る子らの半袖服ふえて
B14 吹かれんと吹かれんとする麦藁帽
B15 亡き子への言づて胸に緑の夜
B16 かくれんぼ一粒口にさくらんぼ
B17 空の輪と塔の足もと薔薇咲けり
B18 被爆者の名前新たや書を晒す
B19 竹林を統ぶる祠や日雀鳴く
B20 園児らも散歩コースの青葉道
B21 目的地探しぐるぐる梅雨近し
B22 子らの声天まで届く夏来る
B23 郷里にて句碑建立で師の宝
B24 青空に白き吊橋夏の瀬戸
B25 この年は昭和百年夏に入る
B26 鰻食ふ昭和引き継ぐたれと炭
B27 白毫寺よりのまほろば春霞
B28 乙訓の藪に生まれて巣立鳥
B29 朝明けに雀頻鳴く梅雨晴間
B30 菊の紋溢るる宮居風薫る
C01 腕に刺す点滴の針青葉冷
C02 気に入りの透かし模様の扇子かな
C03 桐の花昔懐かし訪問着
C04 百態の風に百様風車
C05 徘徊る青葉しぐれの札所道
C06 序章のごと一声やがて囀に
C07 婚の荷の軽々運ぶ梅雨晴れ間
C08 今宵また夜中の手洗い明易し
C09 ゆり大輪吾を通さじと蕊のばし
C10 振り塩に油滲ませ鯵焼くる
C11 サワアジサイ風に吹かれて花小さき
C12 臨時バス最寄り駅より薔薇の園
C13 梅雨の星遺影の夫とファドを聞く
C14 梯梧咲く御嶽に祈る平和かな
C15 結願の九輪の果てに虹二重
C16 土付きの湿る筍朝の市
C17 庭椅子に夫の髪切る立夏かな
C18 勝修羅の火の粉の猛る薪能
C19 まほろばに爺の喜ぶ鯉幟
C20 見定めし図書の池辺に艾採る
C21 濫発の大統領令花吹雪
C22 春の雲流れるごとく動きゆく
C23 葉桜やまほらの空の深深と
C24 穀象や我も米食ふ仲間なり
C25 どこからも富士山見える立夏かな
C26 木漏れ日へ紫揺らす都忘れ
C27 手を伸ばせばすいと飛び去る蛍かな
C28 男女とも茶髪の目立つ聖五月
C29 紙冑飾り子ら待つ保育園
C30 立ち止まる遥か夏野は陰り行く
D01 薔薇の門潜りて薔薇の香を纏ふ
D02 まつ先に解くる一片白牡丹
D03 幕間のロビー賑はふ夏衣
D04 会ひたくて卯の花腐しの墓の前
D05 リュック背に登山仲間の集ふ朝
D06 黙有りの二人のくづす夏氷
D07 燕来る子ども生まれし家の軒
D08 桑の実や日の香幽かに舌に溶く
D09 高虎の城垣に添ふ青葉かな
D10 ロープウェイ頭上を過ぐる茂かな
D11 万博の地図広げつつ苺食ぶ
D12 濠端に映えスポットや若葉風
D13 座禅せる前を飛び交ふ夏燕
D14 鹿の子も群れてまほらを駆け行けり
D15 朝早く並ぶカメラや花菖蒲
D16 香水や見えぬ衣をまとふかに
D17 桟橋に松蟬の声友が島
D18 箱膳に篠の子飯や講の宿
D19 麦秋や竿秤置く乾物屋
D20 薫風や百合樹揺るる花も揺る
D21 なめくじを剝がしてまはる散歩かな
D22 庭先に段々咲かす山法師
D23 薬草を種々三宝に鎮花祭
D24 角家の軒に寄りくる燕二羽
D25 教へられほうと見上ぐる朴の花
D26 雨余の日にとりどりの薔薇匂立つ
D27 新緑や始まりあれば終はりあり
D28 荒れ庭の十薬の花二つ三つ
D29 新樹光水音高まる山の寺
D30 初夏に開催手軽にできるストレッチ
E01 水瓶を持つ手涼しき百済仏
E02 年輪の著きくひぜや風光る
E03 業平の墓と伝はる木下闇
E04 葛切で足らぬ小腹の空き具合ひ
E05 古都行けば眉濃き俥夫の汗ひかる
E06 明易し遺る弟のトーク歴
E07 梅雨湿りほどよく焦げしパンの耳
E08 母の日や在りし日の服袖通す
E09 揺り籠のごと露まろぶ蓮青葉
E10 神坐す峰に吉野の風青し
E11 柏餅好きでわんぱく姉いもと
E12 一人分の豆飯を炊く豆ごろごろ
E13 仲良しの従姉妹同士や夏蒲団
E14 五月雨や潮に錆ゆく海難碑
E15 ふる里に叔父叔母住めり麦の秋
E16 初夏のあさぎ色なるワンピース
E17 麦秋やパン焼きあがるカフェテラス
E18 塩加減良き蚕豆のお八つかな
E19 風光るコントラバスを背負ふ少女
E20 日本の米無くなりぬ豆の飯