誌上句会

第397回  作品集

(8月1日 更新)

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・特選、入選を各一句選び、本誌・巻末の用紙又はメールにて送付して下さい。

A01 万緑の平城址宮日の暮るる
A02 白南風や法如ゆかりの堂一宇
A03 梅雨晴れ間まつてましたと洗濯す
A04 麻痺の足伸ばし立つ猫つゆの明
A05 松籟や五重塔に夏燕
A06 風鈴の風に沿ひゆく読経かな
A07 涼風や四足門ある隠れ里
A08 軒下の風鈴は鳴る宵の風
A09 曙に蟬鳴く山の目覚めかな
A10 尼寺の読経かすかに沙羅の花
A11 尻もちをつく子や田植え体験日
A12 何処からかゆるりと二階囃子かな
A13 白南風や干したティーシャツ踊り出す
A14 老ゆる肌あらはに見せてサンドレス
A15 新緑の校舎に朝の鐘が鳴る
A16 本降りの雨を見てゐる燕の子
A17 まほろばの陽を浴びて育つ夏野菜
A18 水中花土曜の午後の守衛室
A19 大屋根リング海風受けて大西日
A20 経筒に道長公の銘涼し
A21 梅雨明やダムの吊橋とても揺る
A22 千言の俗世を離れ竹の花
A23 梔子の花や藁屋根古びたり
A24 片陰を拾ひをみなの立ち話
A25 大悲閣に眺むる朱夏の嵐山
A26 宮司先頭に輪にさうへ茅の輪かな
A27 蘆山寺の門に拾へる落し文
A28 父の日や嫁が付き合ふ大吟醸
A29 葉隠れに石榴の花の二つほど
A30 香具山を映す植田の水明り
B01 島を打つ波の穂まぶし花蜜柑
B02 揺らめける二千の焔山開く
B03 水郷にそよと葉擦れや粽笹
B04 谷川の岩ごつごつと河鹿鳴く
B05 小満のパイプオルガンからバッハ
B06 星のない町に住む児と星祭る
B07 星月夜しんと一人のカプチイーノ
B08 静けしや猫ともどろむ夏座敷
B09 どや顔の小さき初生り西瓜なり
B10 短冊に小さき願ひ星祭る
B11 恩人の訃報目にする芒種かな
B12 暮れ方に白を極むる山法師
B13 蛍狩り籠のぞき込む幼たち
B14 払暁の新樹雨滴に煌めきぬ
B15 パレットに絵の具遺れる夏の部屋
B16 この地球悲喜こもごもや今日は夏至
B17 せせらぎへ半身さらして蛇の衣
B18 焦げ跡をあらはに銀杏若葉かな
B19 梅雨晴ややなせたかしの展なごむ
B20 麦秋やゴツホの色の刈られゆく
B21 薫風や足湯に望む相模湾
B22 花石榴外堀らしき深き淵
B23 立葵老農いまだ凜として
B24 梅雨寒の駅に人待つ木のベンチ
B25 アスフアルト地を這う波となる夕立
B26 夏館備ふる銀のカトラリー
B27 いざ行かむあぢさゐを見に鎌倉へ
B28 薫風や田水に写る古刹なり
B29 急くことの無き尺蠖の歩みかな
B30 紫陽花の葉群に踊る雨滴かな
B31 如意谷銅鐸は袈裟襷紋夏の展
C01 早苗田のすくすく伸びて米不足
C02 編みたての竹籠の青涼しかり
C03 古写真の今に変はらぬ青田かな
C04 闊歩する仔馬の息や土手長し
C05 青葉木菟鳴き止む頃や夜が白む
C06 義兄逝きて今年は辣韭少な目に
C07 日もすがらクーラーたよる空模様
C08 父の日の夜は父と子が酒談義
C09 しばらくは口に遊べるさくらんぼ
C10 紫陽花や酔うたるやうに雨に揺る
C11 秀次の城下一切海霧のなか
C12 紫陽花の雨や茶房のひとり席
C13 自転車は傘寿の祝風薫る
C14 切麻に首を垂るる夏祓
C15 十薬の花の囁き四季のうた
C16 潮だまりの海月星見るごとく浮く
C17 雨上り万緑の山引き寄せり
C18 夏の暮無人の家に帰りけり
C19 字にならぬ文字書く母や星祭
C20 緑蔭に二人掛け用椅子二脚
C21 羽繕ふ鷭に煌めく川の波
C22 風立ちて植田に揺るる灯かな
C23 ふくよかな仏の耳や杜鵑
C24 すべり台を離れぬ子待つ片かげり
C25 故郷の駅は徒歩圏梅雨入かな
C26 炎帝や水分塩分おこたらず
C27 躑躅照りジャズが轟く野見舞台
C28 疎ましや混みし電車の梅雨湿り
C29 不揃ひの宮のきざさし夏落葉
C30 二人聞く水琴窟の音の涼し
D01 夏草や造成地も境なく
D02 今日夏至の昼の長さを持て余す
D03 香を散らし雨余に摘みゐる青山椒
D04 荒梅雨や自転車もまたびしよ濡れに
D05 穴熊にオクラを掘られ折られけり
D06 恵比須顔偲びその名のビール酌む
D07 梅雨明の広重ブルーを映す川
D08 青葉木菟もう一声を待つ宿に
D09 明易や夢の続きをもう少し
D10 透き通る心持ちたし若楓
D11 六月の風に水の香草木の香
D12 殺風景な地にルピナスの一枚田
D13 夏料理終へて重ぬる応量器
D14 万博に踏み切りのある夏の宵
D15 出外に宿場名残の甘酒屋
D16 樹下涼し千利休の屋敷跡
D17 美術館うつる水面の羊草
D18 半額のシール貼られる実梅かな
D19 雨や睡蓮潤し華めくなり
D20 万博の大屋根リング夏帽子
D21 紀三井寺の赤門濡らす墜栗花雨
D22 新茶淹るかくて今年も過しけり
D23 十薬や軒下に干す祖母をふと
D24 窓越しに紫陽花眺むスクワット
D25 衣更装ふこともへりにけり
D26 海の水底まで見ゆる梅雨の朝
D27 スカウトの田植手伝ふ兄弟
D28 梅雨に入る予報外れの陽射しかな
D29 秋立つやしつかり歩む靴を買ふ
D30 寝転べば星ふる丘や花蜜柑
E01 一冊の一語に心置く芒種
E02 彼方から此方へ青鷺の飛翔かな
E03 オリエントの遺物に見入る夏の午下
E04 夏草や陸軍墓地に無名の碑
E05 あめんぼを見てあめんぼの話する
E06 滴りの音や幽谷静まりて
E07 水なすに味の素降り酒待てり
E08 朝刊にイラン空爆沖縄忌
E09 何げなく植田の靴跡数へけり
E10 発掘する人の動かぬ夏帽子
E11 鮴汁や百万石のおもてなし
E12 八十路には八十路の遊び蛍よぶ
E13 ジプロックで漬くる今年の小梅かな
E14 夕立や駅で家人の迎へ待つ
E15 子の名ある絵本めくりて夜の秋
E16 高崎の猿山円く夏の霧
E17 青蔦の絡む二階家ジャズ流る
E18 雨降り来泰山木の花の錆
E19 木道を歩けば増ゆる水芭蕉