誌上句会

第381回  作品集

(4月1日 更新)

※会員専用です※

・投句される方は必ず選句してください。
・投句は未発表作品に限ります。
・特選、入選を各一句選び、本誌・巻末の用紙又はメールにて送付して下さい。


A01 魚持つ猫のひいなを飾りけり
A02 小春日や芭蕉の句碑の苔むして
A03 春めきて旅の広告まつしぐら
A04 囀を抱きふくらむ御神木
A05 いち早くマネキンが着る春の色
A06 指を折り俳句詠む子や春の風
A07 サッカーの勝利に湧く子風光る
A08 ここだけの話聞きゐる春炬燵
A09 網走の懸崖を翔ぶ尾白鷲
A10 春陰や腰たおやかな伎芸天
A11 強力の破顔一笑春の風
A12 ふらここや町を見晴らし宙を蹴り
A13 酔ふた眼に春満月の大きけり
A14 磯の香の鼻に抜けたる石蓴汁
A15 初鶯歩き疲れし身にみたび
A16 光琳の梅と呼ばれて三分咲き
A17 心身の屈託増ゆる浅き春
A18 おしやべりの止まらぬ後春うらら
A19 北面大師座像を拝す梅二月
A20 遠き日のかごめかごめや春の夕
A21 風光る鳶をいなせる鴉二羽
A22 結界の丹の反り橋へ桜東風
A23 息止めて目を瞑り梅が香のなか
A24 路上行く軽き足取り寒の明け
A25 凍星や知友の早き死を惜しむ
A26 料峭や使はぬままの紗鉢皿
A27 初鏡九十路なる吾の容姿
A28 下萌ゆる礎石に偲ぶ栄華かな
A29 役員の決まらぬ会議春寒し
A30 電話越し耳を澄ますとすき間風
B01 パリの夜の静寂深まる春の雨
B02 春一番帽子の紐をかけ直す
B03 見下ろせば甍沈むる桃の里
B04 更地掘る重機隆隆春立てり
B05 梅活けて静かに母の忌を修す
B06 鳥雲に池畔の椅子に老いふたり
B07 上る上る螺旋階段梅香る
B08 普段着の宴盛り上がる梅の花
B09 大阿蘇の野焼きを守るボランティア
B10 菜の花や園児の帽子見え隠れ
B11 ぬかるみに下ろす庭下駄梅ふふむ
B12 しめやかに熾る炎や飾焚く
B13 小伝馬の処刑場跡春寒し
B14 語りだしさうな雛のおちょぼ口
B15 立ち止まり紫雲英摘みゆく街のひと
B16 琵琶湖畔捨つる漁網に春の雨
B17 春昼や玩具の電車置き去りに
B18 用件に憶えなきメモ春寒し
B19 カステラを贈る天皇誕生日
B20 春寒や通院バスの列につく
B21 赤き実の隠れてをりぬ実万両
B22 春浅き厨にひとり刃物研ぐ
B23 桜鯛を初めて捌く子の手際
B24 春寒や友の子逝きて雲見上ぐ
B25 豆撒の鬼は交互に休みたり
B26 重き荷をおろし行かれよみすゞの忌
B27 シャッターを開くる手のひら春の朝
B28 春の風邪子と部屋越しに糸電話
B29 池の端の鉄幹に梅散り頻る
B30 掬ひたる弓手に溶ける春の雪
C01 ご先祖に米寿感謝の初燈明
C02 陽光をきらきら飛ばすしやぼん玉
C03 盆梅や超辛口の純米酒
C04 狛犬の阿吽まつすぐ恵方向く
C05 瓦礫下に今年も咲けり雪中花
C06 緋木瓜咲く散歩の犬の目線より
C07 春夕焼宇宙図鑑にうなずけり
C08 復興の槌音遅遅と春日射す
C09 齢得て旨さ解るや春の味
C10 この町の銀座通りに蜆買ふ
C11 大寒やストレッチャー上有余の境
C12 一面の菜の花匂ふ朝上がり
C13 咲き続く庭の山茶花地は錦
C14 得意顔かかぐ両手の土筆かな
C15 誘ふかに春の蝶舞ふ頭上かな
C16 錠剤のするりと落つる寒き春
C17 寒天へ飛び立つ鳥の糞ひとつ
C18 真青なる空の深さや寒き春
C19 チチポポと楽の聞こゆる雛飾
C20 晴天の平城宮跡初音かな
C21 白梅や昼を静もる風致地区
C22 猫の毛に日の温もりや冬麗
C23 春まけて神占石を軽く挙ぐ
C24 一墓を三墓に分譲三月尽
C25 子遍路の鈴のなりづめ恋しけれ
C26 卒寿なる恩師の便り春初め
C27 川添ひの河津桜は満開に
C28 茶道具の並ぶ露店や梅まつり
C29 入り日待つ足摺岬や春の夕
C30 早春の光を受くる梢かな
D01 かぐや姫の消息問はな朧月
D02 冴返る伊根の舟屋の軋む音
D03 ロボットの運ぶランチやうららけし
D04 生ぬるき日や大寒を惜しみけり
D05 そぞろゆく余寒の街に啄木像
D06 梅見して梅の一枝をもらひ受く
D07 伝統の赤屋根独逸村の春
D08 寒晴や遠見に凜と芙蓉峰
D09 たんぽぽや黄に車椅子和ませて
D10 神泉を代はる代はるに百千鳥
D11 春暖や水面ぬらりと鯉の口
D12 初日記なゐの記憶の一ページ
D13 日溜まりは至福のひとつ初音きく
D14 ミルフィーユごと春きざす雲の層
D15 残雪の比良を仰ぎて深呼吸
D16 人の家に明かり無き夜の朧かな
D17 残照の光る浅瀬に春の鴨
D18 沈丁のほんのり香る闇夜かな
D19 名草の芽淡き日差しに包まれて
D20 卒業証受け取る孫の背中凜々し
D21 玻璃越しの書斎に偲ぶ菜の花忌
D22 黒潮の風に色づく牡丹の芽
D23 水流る田螺住み着く用水路
D24 立春朝搾り能登復興の地酒かな
D25 川の面に鷺ほの白く春の月
D26 寒肥を積上ぐ農夫光りけり
D27 立春の日の斑を揺らし水流る
D28 国思い蒲公英つめる子の嫁御
D29 白きはめ紅きはめ椿落つ
D30 朝市の姿なくして雪積もる
E01 頰に手を添ふる半跏座春愁ふ
E02 会釈され会釈大きく四音晴
E03 寒釣の背中へ背中見せにけり
E04 結界の橋の浮き立つ朝霞
E05 三人が三様の染み古雛
E06 ?挿すや比良の夕照まなかひに
E07 活断層の事など知らぬ蕗の薹
E08 紅梅に笑み白梅にすまし顔
E09 姨綺耶山の梅の香ほのと地蔵尊
E10 春霧に匂ひ残れる昨夜の雨
E11 跡戻りして薄氷を踏む子かな
E12 鳩に餌をまくや建国記念の日
E13 鱗茎のぬめりを舌に分葱和え
E14 風光るボニーテールの二十歳
E15 夕照の毛馬の堤や風光る
E16 春節の張子の龍の下潜る
E17 雪国の短靴軽ろし土匂う
E18 雪踏める水のかたはら蕗の薹
E19 立春の風に楯突く子犬かな
E20 海苔にある表と裏のひかりかな
E21 豆撒の鬼はやばやと塒入り
E22 追儺会の鬼も写真の輪に入りて
E23 夜の梅帯に刺繍の源氏香
E24 山笑ふ左山城右摂津
E25 菜の花や町より高き河の土堤
E26 断崖に花瓣散らすや野水仙
E27 ランドセル置いて摘み出すれんげ草
E28 竜天に日本マラソン発祥碑
E29 山眠る一番バスの上りゆく
E30 漆黒の宇宙に地球桜咲く
F01 野暮用はバスの終点春の雪
F02 不惑の子が頭屋務むる太太講
F03 浅春の匂ひは淡し畦の草
F04 老妻の初恋の色シクラメン